ルミナコイドと健康・摂取の重要性③
Youtube「「ルミナコイドと健康・摂取の重要性③」内藤裕二先生
Q:「酪酸」について教えてください。
酪酸は注目していなかったのですが、京丹後の高齢な人たちの腸内細菌を調べた時に、京都市内の人と比較して、酪酸酸性菌(ロゼブリア属やコップロコッカス属やラクノスピア属)が多かったので論文書かしていただきました。
偶然、数年前に高名な基礎研究の先生方が、日本人の腸内細菌の中に酪酸菌がいて、酪酸を産生して制御性T細胞を誘導するという有名な論文が発表されていた時期なので、それで受け入れられたと思います。
でも、続々と酪酸に関する発表が相次いできて、神経変性疾患と酪酸の関係とか、酪酸産生菌が少ないとパーキンソン病の進行が早い、という論文を発表されています。
海外からも酪酸産生菌を投与した方が、免疫チェック阻害剤の抗腫瘍効果が高いという発表もありますので、いよいよ臨床で酪酸産生菌や酪酸が評価されるようになってきました。
我々からしたら、普通に食物繊維(ルミナコイド)を摂っていたら酢酸菌も酪酸も増えるし、日本人は元々それなりに色々な種類の酢酸産生菌を持っていますから。
今こそ必要なのは、菌ではなく、(腸内細菌の)エサじゃないかな、と思いますね。
だから、きちんと小さいころから、(腸内細菌の)エサを投与しておけば、食育などでも、色々な食物繊維(ルミナコイド)を摂っていれば、(酪酸産生)菌自体も残って行きますから。
エサと言ったら失礼か、(腸内細菌の)食べ物の時代なんじゃないかとおもいますね。腸内細菌が食べる「ルミナコイド」が大事だと思います。
これも、お母さんが食べないと世代が二つぐらい進んだら、取り返しがつかないことになるのではないかと、マウスの実験でも証明されています。
今の世代は悪くなるピークでしょうから、これからお子さんをつくろう、お子さんを産もうと思っている世代に向けて、ルミナコイド摂取の重要性を啓蒙しなければならないのかな、と思います。
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Q:ソネンバーグ博士*は「ルミナコイドが減ってしまうと腸管粘膜を腸内細菌が食べてしまう」と言われていますが。
そう言われていますね。エサがなくなった菌は食べるものがなくなって、食物繊維(ルミナコイド)に似ている粘液を食べる、と言われています。
粘液というのは物理的なバリア機能として非常に重要で、皮膚は何層にも重なっていて頑丈ですけど、腸管は一層しかなくてすごく薄いのです。そのため、細胞に直ぐに傷がつくので、その上に粘液が重なっていてバリアになっている。
糖尿病の人は、腸管の粘液がすごく薄い、バリアが弱いと言われています。
それ以外にも、私たちが毎日食べている、粘液を溶かすような物や、粘液を食べる菌が腸内で増えることで、粘液の膜が変化します。
それが病気の始まりかどうかは難しいところですが、慢性炎症の始まりだとは言われていますね。
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Q:絶食を何日も続けていると、粘膜がどんどん薄くなると…。
それは私たちも人で経験があります。絶食は一番悪いです。
手術した後に、昔は食べてはダメといって点滴していましたが、あれは最悪です。
直ぐに粘液が薄くなってバリアがなくなるのですよ。
例えば、急性肝炎や急性膵炎で入院したとして、結局皆さんが命を落とすのは、腸管のバリアがおかしくなって、バクテリアが全身に入って敗血症になって亡くなるのです。
肺炎になりましたというけど、お腹(腸内環境)が悪くなって肺炎になったかも知れません。
絶食は最悪なので、ちょっとでも食べなければダメですね。
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Q:病院食でルミナコイドを何故使わないのですか?
病院食には、こんなのものを食べていたら良くならないぞ、というんですけどね、法律とか難しい問題がいっぱいあって、入院患者さんが食べたいと言っても入院食ルートの事もあり、どうにも変わらないんですよ。
病院食は、栄養素の欠乏で始まった栄養学が、糖尿病のカロリー計算に発展して、標準的な食事をしていたらカロリーは十分摂れるという、栄養学の進歩が大きいのですよね
でも、次の一歩は、これまで重ねてきた栄養学の先生方には見えないと思うのですよね。
栄養学の先生や管理栄養士さんに公演頼まれると「あなた方の栄養学は間違っている」というスライドから始めるのですよね。
人生100年時代と言われているときに、いかにサルコペニア*を予防しフレイル*を予防し、人生を楽しく過ごすための栄養学というのは、もう一つ別なものがあっても良いのではないか。
カロリー計算は意味がないと思っています。同じカロリー摂取でも、朝と昼と夜では全然違うという事。こういう考え方も大事だという事ですね。
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Q:それは時間栄養学ですか?
そうそう。中枢の体内遺伝子は地球の自転でコントロールされていて、中枢の体内時計のリズムをうまく食べ物で制御するのは難しいです。
末梢の体内時計は見つかっていて、腸管にも肝臓にも、どこにでも体内時計の遺伝子があって、それらはサイクルを持っていて、どうやら、腸内サイクルの影響を受けている。
それらの研究は面白いですね。どうしてもハンバーガー食べたいというなら、昼にしなさいと指導するとか。ポジティブな提案をしていかないとね。
あたかもハンバーガーのように美味しそうに食べているけど、実は大豆由来だったりしても、良いわけですよね。肉みたいな味がしておいしければいい。
不味いものは続かない。身体の為には、これだと言ってもなかなか難しい。
人と地球の健康を考える「ワン ヘルス(One Health)」という考え方は、今後急速に広がっていくと思いますよ。
人の健康に良くても、地球の健康に悪かったら、食べてはいけないと最近言っています。
Q:腸内細菌が私たちを共生しているように、私たちも地球と共生しています。
地球がなくなったら、私たちが健康であってもなんの意味もないですかね。
戦争とか、温暖化とか、色々な社会問題が大きくなってくると、健康とか食べ物も、そういう中で考えて行く必要があるのではないかと思いますね。
遠大なる計画で動いているのですけど、誰も分かってもらえません。(笑)
ここに座っているだけでなく、農水省のデータなども見せてもらうと、こんなことになっているのかと、新しいことに気づきますね。
その上で、医師としてどんな意見が出来るかを問われているので、毎月東京に行って会議してますけど、辛いです。一番寿命が短いかも。
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note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性①」へ戻る
「ルミナコイド不足は老化や加齢のベースにある慢性炎症を促す」など、是非知っておいていただきたい内容です。
・ルミナコイドの定義
・日本人、特に若年層にルミナコイドが不足している?
・ルミナコイドで腸管バリア機能を維持する? など
note「ルミナコイドと健康・摂取の重要性②」へ戻る
不妊治療やサルコペニア性肥満予防にも効果が期待されるルミナコイド」など、研究結果などをお話しいただきました。
・ルミナコイドの摂取で不妊治療に効果が有った?
・腸内環境が変わるのは1~2か月後?
・ルミナコイドは栄養の吸収も左右する? など