「大空の金魚鉢」詩―＃シロクマ文芸部「金魚鉢」企画参加作品
坊やは お祭り大好き
ヨーヨー釣り、ソースせんべい
チョコバナナが 誘惑ビームを送るので
どれを買うかで 散々と迷う
結局 いつも 一番好きな
「金魚すくい」をやる
数回すくうと 紙はフニャっと
破れて 金魚は取れない
そして ちょっとお腹が膨らんだ
風船みたいな 金魚を
一匹もらって 帰る
家に帰ると バアバが
娘時代から 大切にしている
金魚鉢に 金魚を放す
どことなく 形が 古めかしく
金魚が ちょっと 歪んでみえる
坊やは 金魚に話しかける
「名前ある？？ 女の子なの？？」
金魚は 体をくねらせて
泡をプクッと吐くだけ
夜は 金魚鉢を枕元に置いて寝る
ある朝 目覚めると 金魚鉢が倒れて
金魚が 畳の上で 動かなくなってる
夜遅くに 父さんが酔っ払って
寝た時に 金魚鉢につまづいたみたい
坊やの目からは ビー玉のような
大粒の涙が あふれ出し
泣き声が 家中に響き渡る
庭の すずめも 驚き顔で
首をかしげる
バアバと二人で
庭に 金魚のお墓を建てて
ヒナギクの花を お供えし
両手を合わせて 祈る
「金魚さん 今度は
お空の川で 泳いでね」
坊やには 空は大きな
金魚鉢なのかもしれない
小牧幸助さんのシロクマ文芸部
「金魚鉢」の企画に参加させて
いただきました。小巻さんいつも
お世話になります
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