『いつかティファニーで朝食を』と、ものすごく個人的なおはなし。
※※最後の方に最新刊のネタバレをしています。
amazonレビューの評価は意外と低いんですよね、この作品。
拝見すると、レビュアーさんの仰ることもわからなくもない。葛藤といいつつ意外とあっさりモノゴトが解決しちゃったりする、とか。
特に、専業主婦の栞が働きたい、と悩み出す話はそれが顕著。あれ、結局旦那さんが自営業だったのでそこであっさり再就職してましたもんね。職を手に入れるまでが大変なんだよ…!って言いたくなる気持ちすごくわかる。
でも、フィクションですもの、結末が少しくらい夢があってもいいんじゃないでしょうか。
逆に言うと葛藤の部分がものすごくリアルに描写できているということかもしれないですし。
そういう意味では、このマンガが各話の 序盤に提示してくる登場人物の悩みや葛藤って、アラサー女性なら共感できる部分が多いと思うんです。
だから、ドラマになるくらいちゃんと支持されてる。朝活・朝食ブームに乗っかれたというのももちろんあるでしょうが。
そんな『いつかティファニーで朝食を』ですが、私は2年前、あることをきっかけに全巻大人買いし、以来最新刊を揃えています。
そのきっかけとは「これ、隠れグンマーマンガではないか…!」と気づいてしまったこと。
この作品、当初は東京を中心に話が進むのですが、主要人物の4人の女性たちは群馬県の高校で知り合った設定なんです。
たとえば、主人公の1人・のりちゃんは、作中地元に戻って家業を手伝うことになります。そのお取引先の旅館は、はっきり実在の旅館のトレース。
なので、どこのことかわかる人にははっきりわかります。序盤に出てくる旅館は、全部伊香保だな、とか。
もちろん、朝食スポットとして群馬県のお店もいくつか紹介されています。渋川の永井食堂は私も全力でオススメです。
名物もつ煮定食のおいしさとボリュームもさることながら、ぜひ見ていただきたいのが、おかみさんの客さばき。昔はさぞかし美人だっただろうと思われるおかみさん。行列さばきコンサルタントとして、いろんな観光地に赴いて副収入を得ることもできると思います。まさに神業、いや女神業です。
そして、なぜ私が群馬に反応するかと言いますと、私は群馬育ち・東京在住の主人公たちと境遇が逆なのです。つまり東京育ち、群馬在住。東京の地理もわかるし群馬のこともわかる。完全に私得のお話なのです。
ちなみに、作中で結婚したリサの旧姓は「新井」ですが、これ私の中ではザ・グンマーな苗字です。新井さん、よくお会いします。のりちゃんは「阿久津」だけど、より群馬らしいのは「阿久沢」でしょうか。
(※作者のマキヒロチさんは東京のご出身だそうです)
さて、このたびの11巻。
これまでも、「これは私のためのマンガじゃないか」と思っていたわけですが、その思いは今回頂点に達したと言っても過言ではありません。
その理由は、主人公の麻里子。
麻里子は、これまでも今の会社にいつづけることに疑問を抱きつつ仕事をしていました。それが今回、子宮筋腫がみつかり医者から手術を勧められたことを機に、退職を決断したのです。
このエピソード、あまりにもタイムリーすぎて、電車の中で読んでいて一瞬息が止まってしまいました。
私への啓示ですか、これは。
というのも、私自身も麻里子と似たようなことで悩み、まさしく似たような状況にいまあるからなのです。
私の答えは、出ているようでまだ決断しきれていません。この作品は、冒頭のようにややご都合主義的な展開があるとは私も感じます。だけれど。
いまこのタイミングで、私に物語がひとつの解を提示してくれたことは、意義があるように思えてならないんです。
今回、作品批評と見せかけてどこまでも個人的な話を展開してしまいました。しかし、この11巻によって、『いつかティファニーで朝食を』は本当に私にとって運命的な作品になってしまった感がありました。そこで、この作品についてやや長い備忘録を認めてみました。
こういう、コンテンツと人生のオーバーラップって、えてしてありますよね。
私にとっては、back numberの『ハッピーエンド』という曲もその一つです。いつか気持ちの整理がついたら、こちらも書き留めておきたいなと思っています。