音信不通亭日記10 2022年春の総括
さて春である。冬の間はすることもないので沈黙を続けてきたが、秋から年末にかけてあれだけ大騒ぎしていた球根やら苗やらの結果はどうなったのか。結論から言うと咲いている。いや、もう少し正確に言うと、咲いているのもあるし咲かなかったのもある。だが概ね咲いたと言って差し支えない。
何だそのざっくりしたまとめ方は。そう言われても仕方ない。だが咲いてしまうともうそれ以上何も言うことがない。庭を見て回っても「そうかい……。咲いたかい……。そうかい……」もしくは「そうかい……。咲かなかったかい……。そうかい……」と、小津映画の笠智衆のような感想しか出てこない。
しかしそれではあまりにも成長がなさすぎる。何が良くて何が悪かったのかも確かめずまた来シーズン大騒ぎするのではただの馬鹿者だ。と言われても相変わらず遠い目をして「そうかい……。馬鹿者かい……。そうかい……」と今の私は思うだけなのだが、まあここはひとつ頑張って今後のために簡単な振り返りを記しておく。
* * *
あれこれ植えた球根たちはバイモ以外全て発芽した(バイモも分からないところに植えたから分からないままどこかに生えているのかもしれない)。球根は表の庭に植えるのが日当たり的にも、無駄に掘り返す恐れがないという意味でも正解のようだ。種類ごとの配置とか何も考えず適当に植えたが、合ったところでそれぞれ増えていってくれるといいなと思う。
それにしても球根は思っている以上に強い。去年咲かずに掘り返し、駄目元でまた埋め直しておいたクロッカスの球根が今年はいっぱい咲いた。チューリップも二年目は咲かないという話だったが、貧弱ながら咲いている。シャクヤクも去年はいまいちで、枯れたかなと思っていたがしっかり芽が出ている。
ただ今年のチューリップの水栽培は失敗だった。最初こそ室内で細心の注意を払って管理していたが、寒さや日光に当てるため外に置いていたら関心も低下して結局雑な扱いになってしまった。育ちが悪くなってきたので最終的に庭の空いているところに植えた。
増えすぎた増えすぎたと言っていたビオラやデイジーの苗も結局帳尻が合った。むしろもっとあっても良かったかもしれない。パンジー(いちごみるく)は一鉢だけ咲いたので大事にしている。種も採ろうと思う。そして次こそは適期に種まき、これは絶対。焦らない。
ネモフィラは去年のこぼれ種が庭のあちこちで雑草並みに咲き乱れている。大事にポットまきして芽が出ないとか心配していたのは一体何だったんだ。ただ条件はあるようで、日の当たる時間が短いところでは草姿が乱れがち。鉢植えもまとまらなかった。あと、ワスレナグサをメインの庭にしようと思っていたが全体的に今一つ根付かなかった。暖かすぎるのかもしれない。
暖かいと言えばやはりこの辺りの暖かさは相当のようで、普通冬越しできないと書いてあるペチュニアの鉢植えが平気で冬を越した。
チャコちゃんは正月を境にぱたりと来なくなったのでなんでかなと思っていたら、チャコボックスに他の猫からおしっこを掛けられていた模様。片付けて新しくしたらまた戻ってきた。
チャコちゃんが居ついているから気になるのか、庭で他の猫をよく見るようになった気がする。この辺りでは猫飼いの今の常識がまだ十分に浸透しておらず、首輪してるのに玉がブリブリついてるやつが我が物顔で外を歩いている。そいつらのスプレーのせいで駄目になった苗も結構あるが、それ以上の戦犯はチャコちゃん。ここに居ついているということはうちの花壇をトイレにしているということでもある。いくら怒っても悪びれる様子もないのでもう諦めている。
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