音信不通亭日記9 つまり道楽
十二月十七日(金)
昨夜は嵐。日中は雨こそ止んだものの暴風。高台で遮るものがないので、うちの庭への風当たりは結構強い。植物に被害がなかったか見て回る。ストックが三本折れている(だが三本とも綺麗に地際からポキッと折れているので虫かもしれない)。予備の苗はいくつもあるので植え直そうと思うも、見ると予備の苗の葉っぱにも何かの幼虫が包まっている。ある時点から成長が遅くなり、奇形が出始めたのはそのせいだったのか。駄目そうなのは捨てるが、残したのも見るからに貧弱。今年のストック戦は私の負けか。しばらく様子を見よう。さらに姫エニシダの鉢が割れている。例のデローマの素焼き鉢で、高いものでもないから別に惜しくはないが、捨てるのが面倒臭い。どうしようかな。接着剤で補修するか。
十二月十八日(土)
ストックは挿し芽にできると見たので、駄目元で早速折れたのを水に挿す。そしてこの間買ったスノードロップを表のギボウシのところに適当に植える。それにしても冬のギボウシは面白いぐらい枯れる。跡形もなし。
十二月十九日(日)
朝、パキーンと霜が降りている。芝生が一面の銀世界。ここは雪こそ降らないものの、こうなる時は案外こうなる。思わず植物が心配になるが、とはいえ本土の中でここは暖地中の暖地、気にしすぎるのも過保護だろう。宮崎に出たついでに鉢をまた買う。接着剤も買う。余った苗を植えるため義実家の鉢も回収。昨夜の寒さを思いチャコ箱にうちの猫のお古のふわふわタオルを敷き、カイロを忍ばせる。が、そんなんいいから中入れてくれと最近チャコの押しが強い。
十二月二十日(月)
玉突き植え替え。まず昨日買った十号の菊鉢に桃を植え替える。根が全然回っておらず、すぽんと引っこ抜けたのだが大丈夫か。そして桃が植わっていたデローマの鉢に姫エニシダを植え付けてようやくホッとする。姫エニシダ、花がすごく好きなのだが、妙に情緒不安定な植物で、この数日裸のまま置いていたのが気がかりだった。さらに、作業ついでにアジサイの鉢増しも八個。そしてこれまた空いた鉢に夫が作ってそのまま放置してあったレタスとルッコラの余り苗を植える。これもまた義実家に回そう。それにしても、チャペックも言っていたが、野菜作りと花作りは全然違う。作業的には知らないが、根本的に意味が違う。何ならなんで野菜と花が同じカテゴリに括られるのだろう?と不思議にさえ思う。完全に偏見ではあるが、「最初お花とか育ててたんですけど家庭菜園にはまっちゃいました!」という人は苦手。一方、農家なのになぜか花が好きで、誰も見ない畑の空いたところにいっぱい花を咲かせているような人が好き。要は情熱。一切の実利を排した美に惹かれるということ。別な言葉で言い換えれば、道楽ってことです。
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