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デジタル人民元が発行される前に、抑えておきたい電子決済との違い

YJキャピタルの李路成です。Twitterで中国関連情報を呟いているので、よければフォローお願いいたします@LukeLee

今回はデジタル人民元の話をします。これからのデジタル人民元DCEPは発行した時点でその用途が決められた通貨になりえる従来の電子決済とはポテンシャルが大きく異なります。デジタル人民元が内部試験を実施中して、各銀行のプロトタイプもすでにリークされています。

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想像してみてください。ある日、あなたはラグジュアリーバッグを買っていて、支払いをしていると、笑顔ばかりだった店員が突然、あなたを睨みつけてこう言います。
「申し訳ありませんが、このお金は使えません。 このお金には寄付金のためのサインが付いています。寄付金は慈善活動にしか使えません。」
「え、バレたか」とショックを受けているあなた。
愕然している間にすでにパトカーの音が近寄っている。

これが今後DCEP(中央銀行デジタル通貨、下記DCEP)が普及したイメージなのではないでしょうか。試験が順調に進めば、1年後、2年後にはDCEPを日常的に使用して消費していく予定です。
しかしデジタル人民元は一体何か、現金や電子決済(AlipayやWeChat Pay)、ないしLibraとどう違うのか?この文で少しその実態を理解できればと思います。


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DCEPの未来の世界


DCEP中央銀行のデジタルマネーとオンライン決済の違いを知るためには、まず、M1、M2、M3という3つの異なるお金の定義の違いを把握する必要があります。
まず各国マネーサプライの統計は違うが、日本はM1,M2,M3、中国はM0,M1,M2で見ています。日本の銀行のHPの定義はここからアクセスできます。

https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/faqms.htm/

中国は似ていますが、M0を付け加えていて、M0は現金通貨のみをモニタリングしています。

この文で使うM0~M3の意味を中国文脈のマネーサプライ統計に統一します。
M0:流通している現金通貨を指す。
M1:MOと企業の普通預金、機関・団体・部隊の預金、農村部の預金、個人所有の要求払預金を合計したもの。
M2:M1に都市部住民の貯蓄預金残高と企業の定期預金、信託預金およびその他の預金を加えたもの。
(http://j.people.com.cn/94476/100561/100569/7210982.html)

現代の貨幣は国家の信用に基づいて発行され、金の貯蓄量によって制限されていないため、容易に発行の超過状態になりかねます。そのため、中央銀行は常に社会の中で流通しているお金の量を追跡する必要がありますが、お金はしばしば異なる形態で存在し、分類して統計する必要があります。ですからマネーサプライはM0~2で分けて貨幣の供給量をモニタリングしています。

ずばりM0,M1,M2はなんなのかというと:

・M0はすぐに手元にあるお金

・M1は銀行経由で支払う必要があるお金

・M2は自分のものだけど、持ち出してM0かM1に変換しないと使えないお金です
自分の財産はM2によりますが、支払い能力はM1に関係します。急な病気にかかった時すぐに金を使わなければならなく、役立つのはM0です

同様に、国のM0のレベルが高ければ高いほど、国民の手残る現金が増えて生活が安全になり、M1のレベルが高ければ高いほど、現在の国民の購買力が大きくなり、M2のレベルが高ければ高いほど、近2−3年社会全体の需要が大きくなりそうということです。

電子決済の普及に伴い、構図が変わっています。まず銀行の預金は銀行カード(デビットカードなど)の出現により、M1に含まれるに対して、モバイル決済に使用するお金は銀行カードより流動性が強く、実質にはM0なのではないかと考えています。
しかし、結局のところ、AlipayやWeChatの支払いは不換紙幣ではなく、ただの入金です。 電子決済はいずれも「貨幣」ではなくM1やM2をベースにした決済に過ぎません。


そして、ビットコインや構想中のLibraは、いずれも国の垣根を越えて、世に広がる可能性のある真のM0デジタル通貨です。
これを理解した上で、ようやくDCEPの実質な部分に突き詰められます


DCEPと現金貨幣の違い

一番な違いは貨幣の電子化により貨幣にも金融の機能がつけられたことです。

例えば、現金貨幣の時代には、預金がマイナス金利であれば、銀行に「預金利息」を払わなければならないので、現金を保有する傾向にあります。そして銀行と中央銀行の間の利子がマイナスであれば、銀行は保有している貨幣を貸し出す方向になります。実際今の金融政策直接M0と直結し、人の消費を促すことが無理です。

デジタル通貨になったら、マイナス金利は預金だけでなく、デジタル通貨のデジタルウォレットを介しても、あなたが保有している現金に手数料を請求するのが可能です。となると、真に消費を直結する金融政策ができてきます。

また、貨幣が実物であれば、通貨の発行量に応じて発行コストが上昇するが、デジタル通貨はデータベース上に書き込まれるだけ。強いて言うならメモリーだけはかかりますが、実物発行より遥かに安いなのです。1億でも1千億の発行コストはほぼ同じであり、発行の瞬間に手元に届く可能性があるので、金融政策の実施効率の大幅な向上できます。

最も重要なことは、紙幣の使用は完全に匿名であり、トランザクションは追跡可能ではないが、DCEPは保有者の個人識別情報を識別できるため、お金の流れは明確にわかります。(銀行は保持せず、中央銀行は保持する)

ですから、DCEPは貨幣と同じくM0であり、現金と同じように扱われます。


DCEPと電子決済の違い

アリペイのお金の「残高」は、アリペイの銀行預金に相当するM1、アリペイの「銀行から直払い」機能は文字通り銀行に預かっている資産経由した支払いなのでM2に属します。

例えばアリペイの「残高」を使用して個人店の100円の水を購入したら、自分のアリペイアカウントから相手のアリペイアカウントに100円が転送されたことになっています。「銀行から直払い」なら自分の銀行口座から直接相手のアリペイのアカウントに送金したことに当たります。

ですが、DCEPは前文言った通り、現金の電子化であるM0です。

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同じく個人店の100円の水を購入する場合、携帯のDCEPウォレットから100円相当のDCEPを支払い、店主はDCEPで100円を直接渡されることになります。アリペイの残高、銀行の残高と関係ありません。
ただ消費者にとって買い物の体験は変わりありませんが、裏側の仕組みは結構違ってきます。

まず第一に、電子決済はアカウントに基づきリアルタイム、セントライズドな会計が必要であり、随時ネットワークと接続する必要があります;DCEPは、現金の “デジタル版 "であり、アカウントとは何の関係もなく、理論上は完全にネットワークなしで行うことができます。スマホとスマホの間で繋がれば良いわです。ただこの仕組みはまだ明かされていないままです。

第二に、電子決済は、実名取引になっており、取引情報は銀行の従業員でも見るます。しかし、DCEPは銀行口座を要らないので、個人情報の全てを切断できるし、他会社の人がそれをチェックすることができないはずです。ただし、発行する中央銀行がまだ追跡可能だから「有限匿名」という仕組みになっています。

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最後に、DCEPと銀行や電子決済は実は協力関係です。

DCEPはまだ商業銀行を通じて発行されています。商業銀行は預金準備金と相当するDCEPの発行を中央銀行に要求してDCEPを生成・受領し、預金管理部門が保有する現金や銀行預金をDCEPに変換した後、デジタル通貨が正式に流通するようになり、M0になります。

DCEP は法定通貨なため、 DCEPがもし完全利用を宣言すれば、いかなる事業形態も個人もDCEPの受領を拒否することはできません。ですから、銀行や電子決済による支払いには、DCEPと協力する以外選択がありません。

そして、中央銀行が技術のストラクチャーを決めつけず、協力機関のイノベーションを促しています。そして第三者の機関をうまく付き合って、DCEPの拡散にやってもらっています。

DCEPとビットコインとLibra違い


前述したように、DCEP は紙幣と同様に、国家の信用によって発行・流通が裏づけされていまして、紙幣と 1:1 で交換されます。
一方、ビットコインと従来の通貨の根本的な違いは、発行者が不在で特定のアルゴリズムに従って生成され、ブロックチェーン技術に基づいて流通、記録、セキュリティを担保していることです。ですので、ビットコインは「分散型」の通貨であり、量が限られており、インフレリスクが低く、完全に匿名で、国境を越えて自由に流通できます

そして、DCEPとLibraの違いは、LibraはFacebookが設計・主導するデジタル通貨で、最近の白書にあるように、米ドル、ユーロ、円、ポンド、シンガポール・ドルなどの通貨のバスケットに対応しており、中央集権的な通貨に戻ってきました。

ただ、Libraは民間通貨であり、国家の信用に裏付けられたものではないが、フェイスブックは全世界で月間23億人のアクティブユーザーを抱えており、様々な利用シーンが考え得ると思いますので、法定通貨を一定代替することが可能です。

中国政府は常に金融イノベーションに慎重であるが、デジタル通貨に関しては各国に先んじて走っています。その理由はビットコインやLibraは規制から逃れる可能性があるため、先手を打った形になりました。

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(リブラの仕組み NTT経営研究所)


DCEPと計画経済

これまでに明らかになった技術的な詳細によると、DCEPの発行・流通プロセスには「3つのセンター」が関与しているという。

* 認証:DCEP機関がユーザーの情報をの中央銀行による管理。
* ログイン: DCEPと対応するユーザーの情報を記録し、マネーフローを記録する。
* ビッグデータ分析:反マネーロンダリング、決済、規制管理指標の分析など。

冒頭に述べたように、デジタル通貨の付加属性「有限匿名性」と取引のトレーサビリティがあり、もし将来的にこの機能が広く受け入れられるようになれば、人間社会全体の形を変えてしまう可能性があります。

例えばコロナで中小企業への低利融資の提供を増やしたが、過剰に供給されるお金は経営者が利回りの高い金融商品、不動産、株市場に突っ込んで、実体経済に回さないということはよく報道に取り上げられます。

しかしながら、DCEPの技術に解決できます。つまるところ、あらゆるデジタル通貨は目的を付けて発行することができ、特定の目的に沿って通貨を使わせることが実現できます。

開示情報から、DCEPはすでにスマートコントラクトを組み込んで、一定の条件を満たせば融資ができるらしいです。 例えば、銀行が不動産デベロッパーにローンを発行する際に、スマートコントラクトを埋め込むことで、開発の進捗状況に応じて自動的に融資金を送りつけることができます。極端な話、未来のお金には、生まれつきで禁止される用途があってもおかしくないです。

もしその日が来たら、一つ一つ金の流れは全部コントロールでき、トラッキングできるのなら、本当の意味の計画経済が来れるのではないでしょうか?

もちろん、デジタル通貨も内部矛盾しているところもあり、中央銀行発行した通貨であっても、制限が多ければ多いほど流動性、貨幣価値が相まって下がっていくのではないでしょうか。

これが実現したら、デジタル通過は人間社会がどうなるでしょうか。 すべてが整然としていて、効率が大きく向上しているということでしょうか。 それとも、一人一人の経済活動は事前に計画されていて、常に監視されていて簡単に動けなくなってしまうのでしょうか?

誰もがわからないが、未来はどうなるかはワクワクしています。

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拙い文を最後まで読んでいただきありがとうございます。殴り書きで的確でないところがあるかもしれませんが、是非ご指摘よろしくお願いいたします。

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