何故日本ではMVNOが普及しないのか

皆さんはMVNOという単語を聞いたことはあるだろうか。

最近では、武田総務大臣が携帯電話料金を引き下げる宣言し話題となったが、その中でもMVNOという単語は数回出てきていたので聞いたことがある人も多いだろう。

海外、特に欧州諸国では日本に比べシェア率は圧倒的に高い。例えば、ドイツで35%、オランダでは38%程のシェアを誇る。しかし、日本は昨年に比べ8%程伸びたものの、以前14%程である。

なぜ、ここまでニュースにも取り上げられ話題となってるMVNOの業界は伸びないのだろうか。


私は伸びない理由は3つ程あると考える。

1つは日本の3大キャリア(docomo, au, softbank)の影響である。

私は1年前までアメリカに留学していたのだが、日本と決定的に違う点はSIMロックの有無である。
日本の3大キャリアで販売されている端末には、SIMロックと呼ばれるシステム上の鍵がかかっている。この、SIMロックがかかっている端末ではほかのキャリアのSIMを使うことは出来ない仕様になっている。つまり、キャリアの囲い込みである。この仕組みによってキャリア乗り換えの際は端末を変える必要があった。加えて、SIMロック解除の手続きは自分でも可能だが、3社とも手続きを複雑化させ、ショップに手続きを依頼すると3000円程の手数料を取られる。この大きな壁が、日本のMVNOのシェア率にも大きく影響していると考えられる。私が留学していたアメリカではスマートフォン端末がスーパー(Walmart)などで普通に販売されていた。もちろんSIMフリー端末である。尚且つSIMも日本で言うプリペイドカードのように隣のコーナーに置いてある。つまりSIMフリー端末を購入し、別でSIMカードも購入し使うことが普通になり始めているのである。


2つ目は、日本人のITリテラシーの低さである。

日本のスマートフォンの殆どはショップに行き、端末とSIMカードを一緒に購入し、自ら設定することなく使える状態で受け取るのが普通である。故に毎日のように触っている端末であってもAPN設定などの初期設定はほとんどの人が無知な面である。
その他の普段使う上での便利な設定なども、比較的若い世代は自ら調べ設定を行うことで自然と見について行くが、上の世代になると先ず検索をスムーズにできる人が少ない。故に使いこなせれば非常に便利な物も、基本的な機能しか使えていない人も少なくない。iphone等の高価な端末を所持し、基本的な機能しか使わないのは無知であるが故の大きな無駄である。現最新であるiphone12等は映画を撮影、編集することが出来るほどの能力を持っている。このようなスペックが普段使いに必要だろうか。決して便利な機能をフルに使いこなせと言っている訳では無い。基本的な機能しか使わないのであれば、もっと安い端末でも良いのではないだろうか。日本人は異常なほどiphoneに固執する人が多い。しかし安価なAndroid端末を検討してみるのもひとつの手ではないだろうか。ちなみに筆者はOppoという韓国のメーカーの端末を愛用している。


3つ目は、日本の立地である。

MVNOのシェア率が高い欧州と日本を比較してみよう。欧州は各国間が陸地で繋がっているため国と国の行き来がしやすいという特徴がある。しかし日本はどうだろうか。周りが海で囲まれており決して行き来しやすいとは言えない。
つまり欧州では、国境を跨ぐと電波が繋がらなくなってしまうのである。故に、仕事などで頻繁に国境を跨ぐ人は両国のMVNOのSIMを、デュアルSIM(SIMカードが2つ入る)端末を活用しているのである。
しかし、日本の場合はどうだろうか。
仕事などで頻繁に海外に行く人は少なく、また、海外に頻繁に旅行に行く人も少ない。

2つ目と3つ目の要因に関連して、日本人の属性としてSIMカードの入れ替えの経験が少ないということも上げられる。現状の14%のMVNOユーザーは、東京、大阪、札幌に多く見られる。これはつまり国際線のある都市に集中しているということではないだろうか。


まとめると、日本は立地的にMVNOのユーザーが増えづらいという要因もあるが、私が推測する最も大きい要因は、日本人の経験と知識の不足であると考える。

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