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当尾の磨崖仏


奈良市の隣の木津川市内の東南部にあたるエリア、木津の近くに当尾という場所があります。
ここには多くの石仏や石塔があります。

京都と奈良の境の木津・加茂に当尾はある

当尾には平安時代から修行僧の行場が設けられており、浄瑠璃寺や岩船寺といった平安初期に建てられた古いお寺が残っており、多くの人が参拝や修行に訪れます。
平安時代ごろから世俗化した南都(奈良)仏教を厭う僧侶が、この地に移り住み、修行に励みました。
京都の市中にあるお寺さんは室町末期の応仁の乱でかなりの数が焼けてしまいましたが、当尾のこのあたりは戦禍を逃れたため、古いお寺さんや仏像がたくさん残っています。
そんな当尾には、鎌倉時代後期から室町時代にかけて、行き交う人々のために、多くの磨崖仏が造立されました。巨石に彫られた仏さんを、磨崖仏と言います。

日本で最も磨崖仏が多いのは大分の国後半島

磨崖仏はインドで発生し、奈良時代に日本に伝わりました。 木像の多い日本と違い、インドや中国にある仏像は石像の場合が多く、同様に、洞窟や崖に彫られた磨崖仏も数多くあるようです。磨崖仏は、石の文化圏のものですね。
中国の四川省に、とんでもない大きさの磨崖仏があります。
楽山大仏と言って、高さ71メートルあります。東大寺の大仏の5倍です。
崖から彫り出されていますが、崖と一体となっているので、磨崖仏です。
19ちなみにこの方は、今日の冒頭で紹介したミルクさんとおなじ、弥勒菩薩です。

中国の四川省ある磨崖仏の楽山大仏。高さ71mもある

というふうに、中国にもある磨崖仏ですが、
関西だと、熊野や大津、南山城の和束、奈良の宇陀などに点在しています。 磨崖仏が一番たくさんあるのは、大分県だそうです。 大分県の国後半島には、全国の磨崖仏のうち、約7割が現存します。約90箇所に400体もの磨崖仏が存在するのだそうです。
僕は行ったことがないのですが、国後半島は、磨崖仏のメッカです。
国後半島は阿蘇山大噴火の火砕流でできた地層がやわらかく、仏像を彫りやすいために、磨崖仏がたくさん製作されたのではないか、と言われています。

大分県の国後半島
国後半島の磨崖仏

一族の繁栄あるいは道標

磨崖仏は、いつ誰がなんのためにつくったのか、記録が残っているケースが少なく、定かなことが分かってない場合が多いです。
ただ、木像や金剛像と違って、また切り出した石でつくるお地蔵さんとも違って、その場所から動かされることのない自然の崖に彫られたことから、その地を治めていた一族の変わらぬ繁栄を願ったものではないか、とする説があります。
当尾の場合は、道標としての役割もあったのではないかと言われています。
阿弥陀如来や弥勒菩薩の磨崖仏を、この界隈には今でもたくさん拝むことができます。

当尾の磨崖仏

釈迦三尊像
釈迦如来
地蔵菩薩
不動明王
不動明王
薮中三尊(阿弥陀・観音・地蔵)
石仏群
阿弥陀磨崖仏
阿弥陀磨崖仏
阿弥陀磨崖仏 で、この谷は仏谷と呼ばれています。

釈迦三尊像
釈迦如来
地蔵菩薩
不動明王
不動明王
薮中三尊(阿弥陀・観音・地蔵)
石仏群
阿弥陀磨崖仏
阿弥陀磨崖仏
ここは仏谷と呼ばれている

ハイキングがてら、訪ね歩くのもいいかもしれません。


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