短文詩集26-29「くじらとあした」
<はなうた>
明日のことなんてわからないから
いつも全力で恋をしていたいな
屍みたいな日々はもう結構
手加減なんていらないでしょ
ルピナスの香りをあなたにあげる
<延命治療>
酸素チューブに点滴
点滴に腸瘻カテーテル
傷だらけの二人を繋ぐのは
案外そういうものかもしれなかった
メリーゴーラウンドに夢見る私を
今日もあなたが生かしている
恋とは寄せては返す波のよう
愛は底なしに深い海のよう
ゆっくりと沈んでゆくよ
ふたり 深海で暮らそう
この恋が 舵取りを失った船のように海を彷徨いつづけるとしても構うまい
元々目的のない旅だった
大海原を漂い いつか沈んだらいい
願わくば水底でふたり 眠りにつく日がきますように
愛する彼に捧ぐうたでした
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