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「中国残留邦人」という人たちが存在することも知りませんでした-2

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけにその年の12月からブログを始めました。しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:中国残留邦人 】

さて、3日お休みしていましたが、続きです。

「中国残留邦人」という存在を、僕は初めて知ったわけですが、中国残留邦人は、「邦人」とあるように、日本人です。

ただ、中国で暮らしている人たちですから、日本語が話せず、中国語しか話せない人たちも多いです。

日本人なのに、日本語が話せず、中国語しか話せないって、どういうこと?と思われる人も多いかもしれません。

ここで、「日本人とは?」「日本国籍とは?」という話になります。

「日本人」というのは、「日本国籍を持つ人」のことです。日本語が話せるうかどうかは関係ありません。日本って、隅から隅まで単一民族なので、「日本人は日本語が話せる」「日本語が話せない日本人ってなに?」という感覚を持ってしまうのも無理ありません。

ただ、近代社会では、それぞれの国で、国籍を付与する基準を法律で決めていて、その基準を満たしたら、その国の言葉を話そうが話せまいが、国籍を付与されます。

で、日本国籍を付与する基準は、日本の「国籍法」という法律に書かれていて、この基準を満たすと、日本国籍が付与されます。

で、国籍の付与には、大きく分けて2つの考え方があって、「血統主義」と「出生地主義」です。

日本人の文脈で言えば、「親が日本国籍なら子も日本国籍」というのが血統主義で、「日本で生まれたら、日本国籍」というのが出生地主義です。

で、日本の国籍法では、血統主義を採用していて、「親が日本国籍なら子も日本国籍」というのが原則です。

国籍法には、こんな条文があります。

第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

だから、両親のうち、どちらかが日本国籍であれば、子どもも日本国籍を与えられます。

この国籍法2条は、いろいろな紆余曲折があって、今の条文に落ち着いています。紆余曲折があったので、いつ生まれたかによって、同じ条件でも、日本国籍が与えられたり、与えられなかったりします。

そういうのがありますが、この国籍法2条が適用されて、日本国籍が与えられているであれば、どこに住んでいようが、つまり、日本以外の国に住んでいようが、日本人なわけです。

で、「日本人」なら、日本に住んでいいです。

そもそも、外国人、つまり、日本国籍を持たない人が、日本で住むには、在留資格が必要です。

当たり前の話です。自分の国籍以外の国に入るには、パスポートを見せたり、ビザを取得したりする必要がありますよね。そのパスポートやビザで滞在できる期間しか滞在できなくて、滞在期間を超過したら、その国の機関(日本で言えば、「入国管理局」)に捕まえられて、自分の国に強制的に帰国させられてしまいます。

これが、国際社会のルールです。「好きな国に好きなだけ住める」というルールにはなっていなくて、原則として、自分の国籍を持つ国に住まなきゃいけなくて、自分が国籍を持たない国に住みたいのなら、その国から許可をもらわなきゃいけません。

じゃあ、「中国残留邦人」は、どうなのかというと、日本に住めるのです。だって、日本国籍を持っているからです。

ただ、中国残留邦人って、生まれた時から中国で住んでいて、中国で中国人として取り扱われてきた人たちもいます。

中国で、中国人として取り扱われてきたものの、よくよく調べてみると、国籍法2条の要件を満たしていて、日本国籍を持っていることが判明した、というのが「中国残留邦人」のパターンです。

戦後すぐは、日本で生まれ育った日本人が満州へ移住し、その移住した張本人の日本人たちを「中国残留邦人」と呼んでいました。しかし、最近の「中国残留邦人」は、そういった満州へ移住した日本人たちの末裔たちです。

祖先を遡ると、日本人がいて、その結果、その当時の国籍法を適用すると、今の自分自身が日本国籍だった、ということがあって、その人たちは、日本にも在留資格なしで住めるわけです。

だって、日本人ですから。中国で生まれ育ったとしても、日本人なら、日本に住んでいいわけです。パスポートもビザも不要です。

だって、日本人ですから。

今回は、「中国」残留邦人についてのみ書きましたが、これって、別に中国だけの話ではありません。かつて、「日本」という国は、日本列島以外にも広がっていました。

朝鮮半島と台湾、そして千島列島は、「大日本帝国」の一部でした。満洲国は、大日本帝国の一部ではなく、一応、別の国でしたが(まあ、国際社会は国として認めていませんでしたが・・・)、大日本帝国に所属する関東軍が駐留し、関東軍の意のままに動く政府が存在していましたから、満洲国は、大日本帝国の植民地でした。

こういった、日本列島以外の、大日本帝国の勢力範囲内に、日本人がたくさんいたのです。この人たちが、子どもを作り、その子どもたちに、日本国籍が与えられました。だから、満洲国の範囲内だけではなくて、残留邦人は、大日本帝国の勢力範囲全体にいました。

いろいろと書いてきましたが、やっぱり、歴史って現代につながっています。おもしろいです。

ほんの少しでも歴史を勉強しはじめると、やっぱり、日中戦争と日米戦争にぶつかります。明治維新も、日本という国にとって大きな大きな革命でしたが、昭和20年の敗戦も、破壊的なインパクトを日本に与えていて、それが今だに尾を引いているます。

歴史を勉強すると、日本は必ず昭和20年に立ち戻ります。だからこそ、僕も、昭和20年に至る歴史をいろいろと知っていました。その知識がまさか、仕事で役立つとは思いもしませんでした。

スティーブ・ジョブズが「点と点をつなげる(connecting the dots)」という名言を残しましたが、まさにそれです。

で、大切なのは、つながる点と点は、「つなげようとして得られた点」ではありません。つなげようと意図した点と点は、さほどうまくはつながらず、ただただ夢中に勉強して、いつの間にか自分の中で「点」になったものが、ある瞬間に突然つながります。

「中国残留邦人」という存在を知ることができて本当によかったです。どうやら、近いうちに、中国残留邦人の方とお話できるチャンスがありそうなので、いろいろとお聞きしてみたいと思います。

それではまた次回!・・・↓

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