#181 うつ病発症15日前・発症後326日目
さて,昨日は寝付きが悪かったですねぇ。このうつ病というやつは,調子が良い日が続いていたのに,急に調子が悪くなることがあります。正直なところ,まだ20代だからなのか,自分の身体の調子が不意に悪くなるなんて経験,うつ病になる前は全然ありませんでした。もちろん,たまに風邪を引いたりインフルエンザになったりすることはあります。でも,数日で完治して,むしろ,風邪を引いたことでゆっくり休めて疲れがとれ,回復後は風邪を引く前よりも元気になってしまうような有様でした。
僕にとって,自分の身体が健康であることは,当然の前提だったのです。
でも,今は全然そうじゃありません。自分の意思とは無関係に,急に調子を崩します。「急に調子を崩す」ことが当たり前になるほどです。「自分の身体が常に健康である」というかつての常識が,今や「自分の身体は常に調子を崩す可能性を秘めている」という常識に変わりました(笑)。
まあ,うつ病が改善していくにつれ,調子を崩す頻度は減っていくとは思いますが,今の時点で自分の中の常識となってしまった「自分の身体はいつ調子を崩すかわからない」という考えは,今後も将来にわたって消えないような気もしています。
でも,こういう考えが土台にあると,精神的にめちゃくちゃ強いですよね。自分の「身体」というのは,自分のアイデンティティの根幹(自分という存在の大きな根拠)となっているわけで,そういった意味で「身体性」というのは,人間が生きていく上で不可欠な存在なのにもかかわらず,僕は既に,身体性に不安が生じてもなお生きていく方法を身につけているわけです。身体性がぐらついても生きていく術を獲得できたことは,大きな成果です。
と,ちょっと意識高い系チックに哲学風に難しいことを書いたところで(#内容は完全に意識低い系#要は病気になっても楽しく生きようよという単純な話),今日もうつ病の経過を書いていきます。(第1回目はこちら。第2回目も大事なのでこちらからどうぞ)
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【過去のこと・思い出したこと(発症15日前)】
さて,うつ病発症まで残り15日!
・6月25日㈫:この日の出勤時刻は記録されていませんが,おそらく,この日も8時50分頃までには出勤しているはずです。前日飛行機で帰ってきたばかりですから,土曜日から前日までの3連休を取得していたとはいえ,疲労はとれていません。この日は,午前中に,建物の明渡しに立ち会っています。9時20分には事務所を出て,10時56分に事務所に戻っています。そして,昼の12時44分に事務所を出て午後からの調停の期日に出頭しています。午後3時7分には事務所に戻り,午後8時2分まで残業しています。しかし,ここで終わりません。この後,警察署に接見に行き,そして9時40分,再び事務所に戻っています。そしてなんと,そこから夜中の12時20分まで残業しています!これは異常です。でも,必要だったんです。それくらい残業しないと,仕事が回らなかったのです。というか,これくらい残業しても回らないほど,仕事を抱え込んでいたのです。
ここで,「仕事を抱え込むほうが悪い」とか「仕事量は自分で調整しなきゃダメ」とか「言ってくれたら調整したのに」という意見も出てくるとは思います。しかし,このブログでも書いたとおり,会社は就労環境を整える義務を負っていて,その一環として,各従業員の業務量を把握して調整する義務を負っています。そのため,↑のような言い訳は,そもそも従業員の業務量を把握しようとしてない・把握するための仕組みを整えようとしてない会社(弊所を含む)では通用しないんですね。「そういう言い訳をするまえに,会社はやるべきことをやっていたの?」が先に問われます。だから,法律の話だけをすれば,僕が仕事を抱え込んでいたことについて会社の法的責任を追及することはできます。
でも,大事なのはそこじゃない。「後で責任を追及できる」じゃ意味がないんですね。今この瞬間に自分をブロックできなきゃ,意味がないわけです。法律は,よく「後から責任を追及できるだけだよね」「後からお金の支払いを請求できるだけだよね」と言われたりしますが,そうじゃない。法律は,現に被害を受けているその瞬間に,攻撃をブロックする役割を担っています。それが僕も理解していなかった。というか,忘れていた。せっかく木庭先生の授業を受け,ローマ時代に完成された「占有」の概念を学んでいたのに,それが忘却の彼方となってしまっていました。
「自分で自分を守る」
これは絶対に忘れちゃいけません。
法の基礎にある「占有」は,いったん攻撃をブロックすることを許すわけです。被害を受けている瞬間,物理的に,その攻撃を防御することを許す。それが「占有」=法によって許されています。ここが,よく思われている「法律」と違う。よく,法律は,「事後的に」「裁判で」権利を実現するものと思われていますが,本当の法律は,「即座に」「その場で」,攻撃からブロックしてよいのです。いったん攻撃をブロックしておいて,改めて裁判で確かめる,その確かめる方も,ブロックした側が被告になって,ブロックされた側が原告になり,原告側が,権利が正当であることを証明しない限り,負けてしまうのです。法とは「原告と被告のどちらが正しいか」を確認することじゃなく,その瞬間の物理的な状態をいったん物理的に保護し,それが裁判の場で覆されない限り,保護が継続する,そういったシロモノなのです。
これこそが「法」じゃなければダメです。もしこれが「法」じゃなければ,過大な業務を負わされ,長時間残業を強いられていた,他でもないこの僕が,そういった「過大な業務」「長時間残業」から自分を物理的にブロックすることができないからです。法律が「物理的なブロック」を認めていて,まさに,そうった「物理的なブロック」を「占有」という概念を用いて法の中核に置いていることは,あらゆる法律家が知っておくべき素養です。
もう何度目になるかわかりませんが,木庭先生の本のリンクを貼っておきます(こちら)
話を戻しますが,僕が今になって思うのは,自分のうつ病を他の人のせいにしていてはダメだということです。自分で自分を「物理的に」守る。それができていなかったのは,法律家としても失格でした。
→今日はここまで
【今日経験したこと・経験して考えたこと(発症326日目)】
・今日できた仕事・勉強
今日はまた遺伝の本を読んでいました。『日本人の9割が知らない遺伝の真実』(安藤寿康,2016年 リンクはこちら)です。今日読み終わりましたが,内容的には,これまで読んできた安藤寿康先生の本の内容を簡単に書いたような感じです。行動遺伝学の知見に加えて,安藤寿康先生の思う,教育や社会のあり方・理想についても書かれています。学年制を撤廃して能力制にするとか,その前提として,自分の才能に自分で気づいて,それを伸ばしてく社会であるべきなど,僕が安藤寿康先生の本に影響を受けて考えたことを,安藤先生も同じように考えていて,なおかつ,わかりやすくまとめられていたので,このブログを書く意味がないことを改めて思い知らされました(笑)
そして,自分の一挙手一投足に遺伝が影響を与えている(しかもその影響が50%以上だったりする)という知識を得るのも,もちろん,安藤寿康先生の本を読んだ結果として大事なのですが,僕がより大事だと思うのは,遺伝が影響を測定する際に用いる「分散」という考え方です。↑の本では「ばらつき」というワードで置き換えられていましたが,例えば,体重や身長には個人差がありますよね。そういった個人差を,平均値からどれくら離れているかで集計し(例えば,身長の平均値が168センチだとしたら,身長160センチの人は,平均から8センチ離れていることになります),めちゃくちゃ足し算したのが「分散」というやつです。具体的な計算式は,例えば,100人の身長の「分散」は,その100人の身長の平均値を出して,その平均値から,100人それぞれどれくらい離れているかを,100人全員分について出し,その差を2乗して全部足し合わせ,その足し合わせ合計数の平方根を100人で割ったものが「分散」です。こういう計算式をよくよくみれば分かる通り,「分散」というのは,「どれくらい平均値から離れているか」=「どれくらい数値がばらついているか」を表現できるのです。ちなみに,17歳男子の身長の分散は約33です。つまり,平均値からの差の2乗を足し合わせまくって,それを最終的にサンプル数で割ったら,33になるほど,身長はばらついているんです。つまり,身長なんて,「みんなバラバラなんだなぁ」ということがわかるわけです。この分散が小さくなればなるほど,平均値近くの人ばかりになるので,「そんなにばらついていない」ということになりますが,身長なんて,めちゃくちゃにばらついているのです。つまり,身長なんてみんなめちゃくちゃに違うわけです。だから,平均じゃないほうが当たり前です。この「平均じゃないのが当たり前だよね」という考えを,「分散」という概念は教えてくれます。IQや学力なんかもそう。分散しまくっています。「みんな学力もIQも全然違うじゃん」ということを,数値で教えてくれるのが「分散」です。日本では,よく「平均値より高いか低いか」ばかり気にしますが,「分散」という概念を理解すれば,分散の値が大きければ大きいほど,「平均じゃなくても当たり前だよね」という考えを持てる。この「分散」への理解(この「分散」が偏差値の土台になっているのですが)が,他人の違いを受け入れる土台になりそうな気がします(安藤寿康先生の受け売り)。
・仕事・勉強以外に今日やったこと
今日はまた乃木坂工事中を見ていました!
【今日のうつ病】
昨晩は10時50分頃に布団に入りました。寝付きは悪かったのですが,「早く治りたくはないんだった」「調子崩したら崩したで休みが伸びて結果オーライなの忘れてた」なんて思っていたらいつの間にか寝ていました。とはいえ,寝付きが悪い夜の翌朝は,あまり調子良くありませんね。朝7時ころには目が覚めて,出勤することはでき,読書もできたので,それほど極限まで調子が悪いのではありませんが,まあ,ぼちぼちという感じです。
今日もブログ書けてよかった!
それではまた明日!
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