交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-14(後遺症等級認定の申請)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:交通事故 】
昨日に引き続き交通事故について書いていきます。
昨日は、後遺症の等級認定について書きました。
交通事故でケガをすると、当然、病院に通院して治療します(必要であれば、入院もするでしょう)。
治療を尽くした結果、ケガが治れば、それで治療は終了ですが、ケガが治らない場合もあります。
ケガが治らない場合こそ、「後遺症」が問題になるんですが、治療途中であれば、それは「ケガが治らない」ではないので、引き続き治療を続ければいいんですが、どこかの時点で、「これ以上治療を尽くしても改善が見込めない」という状態になります。
この状態は「症状固定」と呼ばれ、症状固定の時点で残存している症状が「後遺症」です。
後遺症が残存している場合、その後遺症を理由に損害額を増額することができるのですが、ただ、後遺症を理由に増額できるのは、その後遺症が「等級認定」された場合だけです。
昨日のブログで書きましたが、残存する後遺症が、少なくとも「14級」と認定されない限り、後遺症を理由に損害額を増額することはできないんです。
じゃあ、後遺症の等級認定はどうやってやるのかというと、自賠責の保険会社に申請書を提出して、その保険会社を通じて、自賠責調査事務所という専門機関が等級を審査します。
ちょっと難しいので説明します。
今回の設定で、僕は、赤信号で停車していたら、後ろからヤリスクロスに追突されました。
このヤリスクロスは、あいおいニッセイの保険会社に加入していたんですが、この「あいおいニッセイ」は、あくまで、任意保険の保険会社です。
このヤリスクロスは、あいおいニッセイの任意保険とは別に、東京海上日動の自賠責に加入していたとしましょう。
そうすると、後遺症の等級認定の申請書は、東京海上日動に提出することになります。
東京海上日動に後遺症等級認定の申請書を提出し、その申請書を受け取った東京海上日動は、自賠責調査事務所に、後遺症等級認定の調査を委託します。
そうすると、自賠責調査事務所が調査結果を東京海上日動に報告します。
その報告書は、最終的に、東京海上日動から僕宛に郵送されます。
まあ、難しいですよね。そして、さらに難しくしていることがあって、実は、厳密に言うと、「後遺症の等級認定」を申請しているんじゃないんです。
厳密には、保険金の支払いを自賠責に申請しているんです。
意味わかりませんよね。説明します。
さて、そもそもなんですが、交通事故の損害は、本来、自動車を運転していた加害者本人が支払わなければいけません。
自分で事故を起こして、被害者にケガを負わせ、治療費や慰謝料などの損害を発生させたわけですから、そのお金は、自分の手持ちのお金から払わなければいけないわけです。
ただ、交通事故の被害は甚大になることもあって、手持ちのお金では全然足りないこともあり得ます。
そうすると、損害賠償をいつまでも分割で支払い続けなければならなくなるかもしれません。そうすると、被害者保護の観点からもよろしくないので、多くの人は、自動車保険に加入しています。
で、ほとんどの人が、対人無制限・対物無制限の保険に加入しているので、どれだけ重大な交通事故を起こしたとしても、少なくともお金の面では心配いらないことになっています。
ただ、この「対人無制限・対物無制限」の保険は、あくまで、「任意保険」です。
任意保険とは別に、「自賠責」にも加入しますよね?
この「自賠責」と「任意保険」の関係性がかなりの曲者です。
というか、自分が交通事故にあわない限り、自賠責と任意保険の関係性なんて知らなくていいと思います。
「自賠責では足りないから任意保険に加入しなきゃ」ぐらい知っていれば何も困りません。
で、です。
任意保険の会社(あいおいニッセイ)は、加害者の代わりに、被害者に対して損害賠償金を支払うわけですが、そのうち、自賠責から支払われるぶんは、自賠責の保険会社(東京海上日動)に、後日支払いを請求するんです。
例えば、任意保険(あいおいニッセイ)が病院に直接支払っていた治療費は、あとで、東京海上日動が丸々全額支払ってくれます。
だから、結局、あいおいニッセイのお財布は痛みません。
ただ、後遺症の慰謝料や通院の慰謝料は、自賠責から支払ってもらえる金額が決まっています。
例えば、後遺症等級が14級であれば、後遺症慰謝料として自賠責からもらえる金額は75万円と決まっています。
しかし、後遺症等級が14級の場合、後遺症慰謝料は110万円です。つまり、訴訟を提起して、後遺症等級が14級と認められた場合、後遺症慰謝料として加害者は110万円を支払わなきゃいけなくて、それを肩代わりする任意保険会社も、110万円の支払いを余儀なくされます。
しかし、自賠責の保険会社からは75万円しか貰えないので、差額の35万円は、任意保険会社(あいおいニッセイ)の持ち出しとなってしまいます。
さて、この話が、後遺症の等級認定とどう関連してくるんでしょうね(笑)
よくわからないと思いますが、明日書きます。
少し先出しすると、さきほど少し書いたように、後遺症の等級によって、自賠責から貰える金額が左右されるんですが、そうすると、後遺症の等級を決めないと、自賠責の保険会社も支払額を決められません。
というか、この書き方は順番が逆で、後遺症を理由に、自賠責に対して保険金の支払いを請求するんですが、その請求を受けた自賠責保険会社は、自賠責調査事務所に後遺症の等級認定を依頼して、その認定結果に基づいて、保険金を支払うんです。
とすると、「保険金を支払う」という目的を達成するためのプロセスの中で、「後遺症の等級認定」という作業が実施され、その結果、後遺症の等級が認定してもらえるんです。
だから、主目的は「自賠責からの保険金支払い」で、「後遺症の等級認定」は副産物なんですね、実は。
また明日詳しく書きます。
それではまた明日!・・・↓
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