交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-27(一括対応タネ明かし)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:交通事故 】
引き続き交通事故について書いていきます。
さて、後遺症については、昨日でだいたい終わりました。
「後遺症」とは、「症状固定」となった後も残る病状です。
「症状固定」とは、「これ以上治療を尽くしても改善が見込めない状態」を意味します。
これ以上治療を尽くしても改善が見込めない状態になった後も、当然、治療は続けていいんですが、それは、病状の改善ではなく、いわば「様子見」の治療でしかありません。
ちなみに、「症状固定」は、医学用語っぽいですが、バリバリの法律用語で、最終的に「症状固定」を決めるのは裁判官です。
「症状固定」を迎えたことは、後遺症診断書に書かれているので、まずは医師が「症状固定」になったことを判断します。
「後遺症診断書」とは、自賠責の保険会社から保険金の支払いを受けるために、医師に作成してもらう診断書です。
「自賠責」と「任意保険」の関係を正確に理解するのはかなり難しいと思いますが、要は、自賠責保険でまかなえる範囲は自賠責の保険会社が払って、自賠責ではまかなえない範囲を任意保険会社が払います。
「それくらい知っているわ!」という人が多いと思いますが、じゃあ、自賠責でまかなえる範囲を、自賠責の保険会社がどうやって支払っていて、自賠責ではまかなえない範囲を任意保険会社がどうやって支払っているのかまで知っている人は珍しいと思います。
このブログでは既に説明しているつもりですが、やっぱり、このへんは難しい話だと思います。
僕だって、弁護士になるまで知りませんでしたし、弁護士になって、交通事故の案件を何度も経験してようやく、だいたいのことは理解できるようになりましたので・・・汗
交通事故の被害にあうと、加害者(相手の運転手)に対して、損害賠償を請求することになりますが、この損害賠償を、運転手に代わって支払うのが、自動車保険の保険会社(自賠責の保険会社と任意保険会社)です。
任意保険会社は、運転手に代わって、被害者に対して損害賠償金を支払うわけですが、ただ、支払った後、自賠責でまかなえるぶんは自賠責の保険会社に対して請求します。
当たり前すぎて言うまでもないことですが、加害運転手は、任意保険の保険料だけでなく、自賠責の保険料も支払っています。
自分の過失で事故を起こした場合に、被害者に対する損害賠償を保険会社に肩代わりしてもらうために、自賠責の保険料と、任意保険の保険料の双方を支払っているのです。
そうすると、事故を起こした場合に、任意保険会社だけでなく、自賠責の保険会社も、損害賠償金を肩代わりしてくれなきゃ困ります。
というか、最終的に損をするのは自賠責の保険会社、ということになっているんです。
先ほど説明したように、自賠責でまかなえない範囲を任意保険会社が支払います。
ということは、自賠責でまかなえる範囲は、まずもって自賠責の保険会社が支払わなきゃいけません。それで足りるのであれば、任意保険会社の出る幕はありません。
「出る幕はない」はずなんですが、「出る幕」が0%ではないんですよね、ここが難しい。
今回の設定では、僕が交通事故被害を受けましたが、僕が交渉した相手は、任意保険会社(あいおいニッセイ)でした。
これは、僕の被害が自賠責でまかなえる範囲だったからではありません。
自賠責の範囲でまかなえるかどうかにかかわらず、僕の交渉相手は任意保険会社(あいおいニッセイ)です。
というか、事故を起こした時点では、僕の損害賠償金がいくらになるかなんて全くわかりません(笑)。
だから、「自賠責の範囲でまかなえるかどうか」で、交渉相手を、自賠責の保険会社or任意保険会社と選べるはずがありません。
そうすると、必ず任意保険会社が交渉相手となるんですが、これを「一括対応」と呼ぶんです。
「一括対応」って、任意保険会社が病院に直接料金を支払うことを意味すると思われがちですが(その理解も正しいんですが)、正確には、任意保険会社が、自賠責の保険会社に対する保険金の支払請求もまとめて(一括して)取り扱うことです。
この「一括対応」のおかげで、今回の事故でも、被害者である僕は、自賠責の保険会社と任意保険会社の2つを相手にしなくて済みました。
厳密に言えば、被害者である僕が受け取る損害賠償金は、自賠責の保険会社と任意保険保険会社の2社で肩代わりされているので、僕は、2社にそれぞれ請求する必要があるはずです。
まずは、自賠責の保険会社に対して、自賠責で補償される範囲の保険金を請求し、それで足りない額は、任意保険会社に請求する、というのが厳密です。
お金の出どころが、自賠責の保険会社と任意保険会社で違うわけですから、それぞれのお金の出どころに対して請求するは当たり前に思えます。
しかし、「一括対応」だと、窓口は任意保険会社のみとなります。
任意保険会社が、損害賠償金をまとめて被害者に支払い、自賠責で補償される部分は任意保険会社が後日、自賠責の保険会社から回収します。
(ちなみに、任意保険会社が病院に直接払った治療費も、あとできっちり自賠責の保険会社から回収しています。結局、任意保険会社は自賠責の範囲なら全く懐が痛みません。感謝するべきは、任意保険会社ではなく、自賠責の保険会社です。まあ、いずれの保険会社も、保険料で成り立っているので、最終的に感謝するべきは保険料を支払っている契約者の皆様方ですけど)
こういう仕組みが成立しているので、僕は、事故にあった後も、任意保険の会社だけを相手に交渉していればよかったんです。
ただ、それまでとは違って、任意保険会社を介さずに、直接自賠責の保険会社とやり取りする事態が起きましたよね?
それが、後遺症の「被害者請求」です。
僕は、後遺症の等級認定の目的で、「被害者請求」しましたが、これは、それまで任意保険のみが窓口だったところに、こちらからむりやり、自賠責の保険会社と直接やり取りさせてほしい、と意思表示することを意味します。
「事前認定」は、一括対応の構造が崩れません。
任意保険会社が窓口となって、自賠責の保険会社に後遺症の等級認定を申請して、事前に後遺症の等級を確認しておきます。
これと違って、「被害者請求」は、自賠責の保険会社と直接やり取りします。「一括対応」の構図が崩れるのです。
さて、今日は、一括対応の「タネ明かし」みたいなことを書きました。
すみません、昨日のブログでは、「通院慰謝料」について話すと書いていましたが、全然書けませんでした汗。
明日また、「通院慰謝料」について書こうと思います。
それではまた明日!・・・↓
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