神田愛山→神田伯山「相伝の会」@イイノホール(2022/12/02)【講談編#36】
こんばんは。飯山大五郎です。
先日、神田愛山→神田伯山「相伝の会」に行ってきました。会場はお馴染みイイノホールです。
「相伝の会」は伯山先生が松之丞の時代から行っていた会で、愛山先生が高座にかけた読み物を次回伯山先生がネタ下ろしするという会。前回開催された会に伺うことができているので(【講談編#16】参照)、お二人の読みの聴き比べをすることもできちゃいます。さて、どんな感じになりますやら。
この日の演目は、こんな感じでした。
○「寛政力士伝 雷電の初土俵」神田梅之丞
この日の開口一番は梅之丞さん。読み物は『寛政力士伝』より「雷電の初土俵」。伸びやかに、爽やかに、安定した読みをされています。ずば抜けた強さを持っていても、環境が良くなければ活躍することできなかったでしょう。この読み物で言えば、横綱・谷風の元で稽古できたのが大きかったのだろうなあ。
○「清水次郎長伝(二)心中奈良屋」神田伯山
いよいよ『清水次郎長伝』へ。前半2席は伯山先生がご担当。序開き「次郎長の生い立ち」のおさらいから、「心中奈良屋」へ。米問屋を継いだ次郎長がどのように博打うちとなっていったのかが描かれます。和田島の太左衛門だったり奈良屋だったりと話をつけるシーンで、伯山先生のおやりになる次郎長の「若さ」が印象に残っています。
○「清水次郎長伝(三)法印大五郎」神田伯山
一度袖に下がって「法印大五郎」へ。大五郎は「秋葉の火祭り」に進む上で重要な役割を担う人物で、ここで次郎長の身内となっていきます。茶屋でのシーンでは、伏線回収を丁寧にされている印象。大五郎の啖呵も気持ちがいい。上下関係に囚われて思考停止せずに、いけないものはいけないと言える大五郎が実にかっこいい。
〈お仲入り〉
休憩です(10分間)
○「清水次郎長伝(四)秋葉の火祭り」神田愛山
出囃子「のっと」にのせて、愛山先生登場。2席分なのでしょうか、気持ち長めにまくらを振ってから「秋葉の火祭り」へ。大五郎の多方面への気配りが実に見事なんだけど、他人の心の声を聞くのは苦手なのかしら。愛山先生のおやりになる次郎長は「貫禄」が感じられます。静かに熱く、というような感じでしょうか。
○「清水次郎長伝(五)興津河原の間違い・上」神田愛山
釈台横に置いていた湯呑みで白湯を飲んで、後席「興津河原の間違い・上」へ。ちょうどここまでが「昼の茶会」でおやりになっているところ。間違いであるから緊張感ある場ではあるけど、愛山先生がおやりになる次郎長のところの「つね」や、太左衛門のところの「いかけや」といった人たちがなんとも愛らしい。
この続きはまた次回の相伝の会で、ということです。めちゃくちゃいいところで切れたので、続きがものすごく気になり待ち切れません。いやあ楽しかった。それではまた。