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【小説】生かされているということvol.11
6月10日午前8時半、妻が目を覚ました。
起きたらいきなり病院で混乱している様子だったが、私のことも認識しているし、「寒い」とも言っていたの感覚もあるようだった。
脳に酸素がいっていない時間が長いと障害が残ることがある。怖くて調べられていないが、きっと大丈夫。
とにもかくにもよかった。本当によかった。
ほんの少し話をして、待合室にもどり、すぐに、家族、親族、職場の人等妻を心配してくれていた皆さんに妻が目を覚ましたことを伝えた。
みんな自分事のように喜んでくれた。
12時の面会に合わせて、母と娘、お義母さんが来てくれることになった。
病院側に事前に許可を得ておいた。
娘には特に会わせたかった。
妻が倒れて、ECUに入る前に一目見たのが最後だったからである。
12時の面会の前に、怖くて調べることができなかったことについて調べた。
脳に一定期間酸素が言っていないことでの障害についてだ。
脳梗塞などの脳卒中で倒れた場合は、詰まった箇所以降で障害が起きることがある。例えば、手足のまひだ。
妻の場合は、脳に酸素が供給されていないことで起きる障害だ。
認知機能の低下。いわゆる記憶障害らしい。
具体的には短期記憶を保持できないことらしい。
12時、娘と母、お義母さんと合流し、ECUの妻の様子を見に行った。
妻の眼には膿が出ていた。
目が大きく、寝ているときも半目になってしまうことが多い妻。
約2日ずっと半目だったために、眼から膿が出てきてしまったようだった。
見づらそうにしていたが、母もお義母さんと娘と会い、喜んでいた。
ただ、私とは2回目のはずなのに、初めて会うような反応だった。
気にはなったが、家族との再会に水をさすような気がして何も言えなかった。
娘は、喜んでいたが、妻が普段と違う入院着や管につながれていることもあって、なかなか妻にくっつくことはなかった。おそらく、くっついてはだめだと思っている様子。3歳なのに聞き分けがよすぎる。我慢しているに違いない。
促してようやく抱っこされていたが、まだ、100%甘えることはできていないようだった。かわいそうに。
妻が入院中は、いっぱい甘えさせてあげるからと誓った瞬間でもあった。
15分はあっという間だった。
みんなが再会を喜ぶ中、一抹の不安を抱えたまま、ECUを後にした。
時刻は、6月10日12時を過ぎたころだった。
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