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トラウマは愛である。

いつもの美容室でのこと。
ふとしたことから閉所恐怖症とその原因の話になった。

自分が閉所恐怖症だと気付いたのは、意外にも運動会での障害物競走で
横に倒してある梯子の穴をくぐるというのが何故か怖くて、しばし梯子の前で立ち尽くすという事件があった時。最初はなんでだろう?ぐらいに思っていたのだが、
そのうち、あぁ、私は狭いところ(特に天井が低い所)が苦手なんだなと分かった。

ある時、それを母に話したら、
「それ、鎌倉の銭洗弁天に行った時のトラウマじゃない?」と
言い出した。

ご存知の通り、鎌倉の銭洗弁天様(銭洗弁財天宇賀福神社 https://www.trip-kamakura.com/place/195.html)は、とても鎌倉らしかろう岩場多き場所にある。特に奥宮は洞窟の中に鎮座されていて、今見ればそれほどでもないのだが、子供の私にとっては暗くて狭くてとても怖かったのだと思う。

ここで普通の父親であれば、まだ幼い娘が怖いと泣いて「嫌だ」と言えば「よしよし怖くないよ」と宥めすかしもしただろうが、そこは甘やかしを許さない我が父親。
「なんでこんなもんが怖いんだ!!!!(必殺名古屋弁)」と言いながら
ギャン泣きの私を引きずるようにして連れて行ったらしい。
(私自身はそこまでは覚えていなかったけれどこれも母曰く)

何がなんでもの父も父だが、それを黙って見ていた母もなんだかなぁと思ってはみたけれど、よくよく考えてみたら、そんな小さい頃に名古屋の実家から鎌倉あたりまで家族で旅行に出掛けて行って父親としっかり手を繋いで歩いていたという事実があるわけで。
母にとっては良い思い出のひとつ、そしてその時の父親と娘の戦い(本人たちにとっては 笑)を微笑ましく思っていたに違いない。

結局。
原因はそれだという確証はないけれども、トラウマも愛なんだよね。
梯子くぐりが出来なかろうが、MRIに怯えて検査技師さんに苦笑いされようが、
そこには確実に愛があるのであーる。


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