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ちょっとしたことで再訪はしなくなるが、ミスは逆転が可能だって話

私はライターなので、あちこちのお店に行くことが多いです。お店のスタッフの言い方や態度で残念だなって思うことも度々あります。
でもミスやマイナスは逆転が可能だって話をします。

たったひと言がなかったために


お店のイメージ

自宅のエアコンが壊れたので、買い換えました。量販店でエアコンを購入し、取り付け工事をお願いしました。工事の日程は決めたものの、時間は前日にならないとわからないとのことで、工事業者から電話が来ることになっていました。

ところが、前日に電話が来ないまま工事予定日の朝に業者が来ました。

私が「昨日、電話貰えると思って待っていましたが、来ませんでしたね。私はお風呂も入れずに待っていたんですよ。」と言いましたが

業者は「はぁ」と言ったっきり。

なぜ「すみません。昨日夜遅くなってしまったので、夜分にお電話するのを遠慮しました。お待ちいただいていたのにすみません。」って言えなかったのでしょう。

私はすぐに量販店に電話しましたが、売り場責任者も店長も誰も「申し訳ございません。」と言わないのです。
私は量販店を管理している部署の上司にも電話しましたが、誰も「申し訳ございません。」と言いません。

私が怒っているとやっと気が付いた上司たち4人が、ぞろぞろと我が家にやってきました。

上司4人を並べて私は「なぜ、ひと言”申し訳ございません”が言えないんだ。部下のミスを上司がフォローしなくてどうする!”長”の仕事は責任を取ることだ。そんなことも出来ないなら、”長”なんてやめちまえ!」

私に言われてからは「申し訳ございません」を連発していましたが、時すでに遅し。私には駅でお弁当を売っている「お弁当いかがですかー?」のような売り声にしか聞こえませんでした。

私は「あなた方の謝罪は受け取ります。ですが、店舗は2度と行きません。」と言って工事を進めて貰いました。
その量販店には行っていませんし、行くこともありません。

クレームからお得意様に変えた話


食器のイメージ

ずいぶん前の話ですが、海外ブランドの食器を輸入して直営店舗で販売する会社で働いていたことがあります。私は本社での事務作業を担当していました。

ある時、落ち着いた年齢の女性からの電話がありました。
「そちらからダイレクトメールが届いたのだけど、なぜこちらの住所がわかるの?勝手にダイレクトメール送りつけるなんておかしいでしょう!」
女性が怒っている様子が電話越しに伝わってきます。

「申し訳ございません。お店をご利用いただいた時にご住所を伺い、ダイレクトメールをお送りさせていただいたものと思います。ご不快な思いをさせてしまって申し訳ございません。ご住所をお教えいただければ、今後送付しないようにお手続きさせていただきます。」
と私は言い終わらないうちに

「主人が部下の結婚祝いに食器を贈ったと言ってたから、その時に住所を言ったのかしら?」と女性。

「そうかもしれませんね。ですが、ご不快だったとのことですのでご住所を…」と私。

「あら?そちらって海外ブランドの食器屋さんなの?」
と女性の声が落ち着いてきました。

「はい。有名な海外ブランドの食器を扱っております。ダイレクトメールを送らないようにしますので、ご住所を…」
と私。

「あら、ロイヤルコペンハーゲンもあるのね。」
と女性。

「はい、ございます。」
と私。

「あら素敵なお皿ね。青山にも銀座にもお店があるのね。」
と女性。

「きっと、主人の職場から近い青山店に伺って部下に食器を贈ったんだと思うわ。銀座なら私よく行くのよ。」
と女性は続けます。だんだんと声のトーンが変わってきました。

「ありがとうございます。ご主人様が青山店をご利用いただいたのかもしれませんね。奥様が銀座に来られた時に店舗にお立ち寄りいただければ、食器をお手に取ってご覧いただくことも可能でございます。」と私。

「そう。じゃあ銀座店に行ってみるわね。」
と女性は言って電話が切れました。

ダイレクトメールは止めることもしませんでしたし、この女性はお客様になりました。
私はごく普通の対応をしただけですが、女性の言っていることにちゃんと答えたので、誤解が解けたのだと思います。

私のしたことを自慢したいのではなく、ミスは挽回が出来ると言いたいのです。私のミスを同僚のひと言で誤解を解いてもらったこともあります。


ミスや失敗は誰でもします。
ですが、逆転の出来ないスポーツはありません。
例えば、野球でピッチャーが投げた球をバッターに打たれ、ピッチャーが捕れなくても、セカンドが捕れなくても、センターが捕ってバックホームしてアウトにしたら、センターがヒーローになり、ピッチャーやセカンドのミスを帳消しに出来ます。
センターは”あいつのミスをフォローしてやった”と考えるのではなく、”レーザービームでアウトにしたら、明日のスポーツ新聞の1面トップだぜ”と思えばお互いを思いやることが出来るでしょう。


ちょっとしたことで台無しになり、お客様は再訪しなくなるけれど、ミスは逆転できるって話でした。



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