憐れみの3章(2024年)
ヨルゴス・ランティモス監督作。
3話のオムニバスで、共通の役者がそれぞれ別の人間関係の別の役を演じます。
主演はエマ・ストーン、ジェシー・プレモンス。
前作前々作と合わせて3部作ですね。
エマ・ストーンは風格すら感じます。もう単なる若手美人女優とか若手セレブではないですね。
ジェシー・プレモンスは、マット・デイモンのそっくりさん、キルスティン・ダンストの旦那さんという立ち位置を完全に抜けましたね。
顔が顔だけに、色んな役ができて得です。
「アイリッシュマン」でのマフィア役もピッタリでした。
熱演していたマーガレット・クアリー、何とアンディ・マクダウェルの娘なのですね。
アンディ・マクダウェルと言えば、永遠の美女。昔の映画を見ていて、ファッションやメイクの流行が変わっていて、登場人物全員ヘンに見える時にも、アンディだけはいっつもキレイです。
そう言われると面影がありますね。
お母さんよりもっとフレッシュで、生き生きした魅力がありますね。
ホン・チャウは「ザ・ホエール」で、友達のリズを演じていた女優さん。意志の強さと清潔感、両方を感じます。
悪役からキリストまで演じるウィレム・デフォーも、一般的なハンサムでないおかげで、高貴な役から異常な役までお手のものです。
今回も、まともなようなまともじゃないような役を生き生きと演じています。
テーマは翻弄されたり依存したりの関係かな。
共通の役者がそれぞれ別の人間関係の別の役を演じているので、それぞれの人物の共通項を探してしまいますね。
お話の意味は、あまり分かりやすく描写されておらず、解釈は観客に任されています。
ミステリーのような部分もありますが、これがこうだというような理論的な意味づけというより、寓話的な象徴的なお話です。
なので、見る人によっては「自分のことだ!」と思ってしまうかもしれません。
悲劇のはずなのにちょっと笑ってしまうようなおかしみがあるところも、妙に現実的です。
きちんとしたストーリーのある映画が好きな人には向かないかも。