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昭和の女性

職場の先輩が外国の翻訳本が好きだといえば、
借りた本の影響で外国文学にハマる私。

最近、Netflixで、向田邦子さんの脚本のテレビドラマ「阿修羅のごとく」がリメイクされたので
拝見した。

そしたら、昭和の日本小説が読みたくなる
影響の受けやすい私。

もともと、向田邦子さんの文章は好きだったのだけれど、セリフ回しや、背景や、人物像等、
すごく素敵だった。

久しぶりに夢中になって一気に観てしまったドラマだった。

向田邦子さんも昭和の女流作家さんで、
好きな人の1人だったけれど、
下記記事でも書いたのですが、
「芝木好子」さんという方の本も大好き。

私自身は、昭和の終わり生まれで
あと1年で平成という感じだったので、
正直、昭和の記憶は無いし、
ほぼ平成を生きてきた訳だけれど、

昭和の名残みたいなものは、
多分存分に残っていた時代だったのではと思う。

カセットテープや、家電の時代。

高校生くらいからケータイを所有するようになって、あれよあれよという間に、スマホが登場した。

SNSなんて言葉もなかった。

私の好きな昭和の女流作家さんの本に出てくる主人公達は、みんな芯があって、意志が強くて、
根が明るい。
惨めな状況も、不利な状況も、
前向きに生きていく。

時には周りの人を叱咤激励しながら。

出てくる登場人物達が、
やたら感傷的になったりしないところや、
ご都合主義じゃないところ、

良いところばっかり、キレイなところばっかりじゃなくて、人間のズルいところや、弱いところも上手く描かれているところにも惹かれる。

人間を理想化したり、美化したりしないで、
傲慢さやズルさがあっても、
それでも人生は続いていく、
強く生きていかなきゃならないんだ
っていう感じのところに勇気づけられる。

「阿修羅のごとく」も個性豊かな四姉妹が、
それぞれ問題を抱えながらも、
懸命に前向きに生きていくドラマだ。

決して清廉潔白で完璧じゃない人間像がそこにはあった。

不倫する長女、
夫の不倫を疑う次女
(不倫相手は長女ではない)
堅物で融通の利かない三女、
自由奔放な四女。
(四女が一番アップダウン激しめの人生だった…)

そして、長年の愛人を匿う夫に、
陰で傷つく母。

それぞれに色々なことが起こるけれど、
派手なガガーンみたいのはなくて、
人生の1コマとして淡々と描かれていく。

でも、セリフ回しや、背景や、行動で、
ジワジワと不穏な空気が漂ったり、
時には滑稽に見えたり。

ドラマの中にも、漱石の引用として出てきたけれど、哀しみ苦しみも時間経ってみたり、遠目で見れば喜劇なんだよね。

向田邦子さんの魅力は、
悲劇を喜劇として描けるところだと思う。

悲劇を喜劇にできた時、
多分人は救われる。

阿修羅のごとくを拝見して、
そんな風に思った。





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