正源宗之の雑歌詩集より『視線』
振り向きもせず帰る僕
さよならも言わないで背を丸め
視線は遠くを見やることなく
吹く風は丸めた背中を通り抜ける
あなたもまた何も語らず
ただ行きずりの二人のように
改札の中へ消える
遠ざかる電車のひびきは
ただむなしく僕の胸に残照となる
この淋しさが消え去るまで
『視線』正源宗之
(正源の娘のひとり言)
僕は本来強い眼差しの持主だと思うのです。でも今は弱い。
その視線の先にいたはずの人がいない。
たぶん僕は一度振り向いて視線を向けて探したはず、もう間に合うはずもないのに。
あなたもまた振り返ったはず、視線を感じたような気がして。
すれ違う、二人の視線とそこにある心。
正源さん、こんな解釈しちゃっていいのかなあ。
意図がぜんぜん違うがなって怒ってるかなあ。
「視線」なんてタイトルつけるから考えてしまうんですよ。
いっときのさよならなのか、
もっと深いさよならなのか。
視線の先にあるものは、
過去なのですか、
未来なのですか。
視線が私の心に突き刺さっています。
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