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『出勤時の背後からの視線を感じる瞬間』

『出勤時の背後からの視線を感じる瞬間』

目覚めた瞬間から、今日は何かが違うと感じていた。 カーテンの隙間から差し込む光も、いつもより優しく艶めいて見える。


化粧台の前で、普段よりほんの少しだけ丁寧にメイクを重ねる。 つけたての赤リップが、鏡の中で誘うように微笑む。 「今日は、この香りにしましょうか」 首筋に、グラス一杯の白ワインのような華やかで軽やかな香りをまとう。


黒のタイトスカートに、薄手の白ブラウス。 ブラウスの第二ボタンを留める指が、少しだけ躊躇う。 深呼吸して、そのまま。 春の朝に、透けるか透けないかの境界線は、女の武器になる。


いつもの電車、いつもの車両。 でも、今朝は空気が違う。 向かいに座る年配のサラリーマンの、さり気ない視線に火照りを覚える。 スマートフォンに映り込む自分の姿が、いやらしくない程度に色めいて見える。 電車が揺れるたび、ブラウスの下のレースが肌を優しく掠める。


駅を降りて、通勤路へ。 春の柔らかな日差しが、黒のストッキングを纏った脚を愛撫するように照らす。 昨夜、じっくりと選んだガーターベルトが、歩くたびに内腿に小さな刺激を与える。 誰にも見えない秘密の装着が、私の背筋を誇らしく伸ばす。


ヒールの音だけが、まだ眠そうな街に響く。 カツン、カツン。 そう、今日は少しだけ色気のあるリズムをつけて。 太ももの付け根まで伸びるストッキングのラインが、 スカートの下で密やかな悦びを奏でる。


その瞬間、背後に熱を帯びた視線を感じた。 


信号待ち。 ただ前を向いて、深呼吸。 白ブラウスの襟元が、春の風で微かに揺れる。 下着の紐を調整する仕草を見せるように、さり気なく肩に手を添える。 シルクのブラウスの下で、レースのブラが綺麗な形を主張している。



エレベーターに乗り込む前、 ふと携帯に映る自分は、 普段の清楚な私から、どこか妖艶な女性に変貌していた。 大人の色香が、身体中から溢れ出している。


今日という舞台で、私は誰に見られたいのだろう。 答えは、この胸の奥に秘めたまま。 微かな吐息と共に、オフィスの扉をくぐった。


人前ではただのOL。 でも今日の下着の色は、真っ赤。 その事実だけで、私の背筋は誇らしく伸びる。

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