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散ってしまうのが惜しい

蜘蛛の巣にピンクの花びらが捕まっている。
反対ホームの後ろに見えた満開の桜は、僕と同じ身長の葉桜になりつつある。

なんだか、世界には惜しいもので溢れているように思う。
「Ohもうちょいでストライクやったのに」のおしいじゃなくて、「消えて欲しくないなあ」のおしい。おいしい。
最後の一口のケーキとか、
12話目のアニメとか、
改札挟んだバイバイとか、
久しぶりだねの最後とか、
そういうものが惜しい。

このままの生活が続けばいいのにね、って子どもの頃から考えてる気がする。
ずっと放課後に友達と遊ぶ生活がいい!
いつのまにか放課後はなくなっていて、それでも次の放課後みたいな何かが現れて、生活は続くんだけど。
やっぱりなくなっていくものは惜しい。

それでも、
来年になれば桜はきっと咲くし
またケーキ食べようね〜って話したし
アニメは何周観たっていいし
改札はずっとそこにあるし
生きていたらきっと会える。

そう思うと、惜しいもので挟まれたときほど、次の惜しいが楽しみになる。そうやって生きていくんだと思う。

散る桜を見てセンチメンタルになってしまったので、こう言い聞かせて今日も惜しい日と過ごす。


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