「障がい者に将棋を普及するということ その1」
私はNPO法人を主宰し、10年間以上障がい者に将棋を教える活動をしてきた
これは師匠である故米長邦雄先生の影響とご支援があってのこと
「障がい者に将棋を教えたい!」と師匠の掲示板で書き込みしたところ、即刻「全面支援する。やれ!」とのお言葉と共に「三段段級位申請書」と「推薦状」が自宅に送られてきた
推薦人と保証人の欄に署名捺印がされていた
「何があっても この男の不始末は自分が全ての責任を取る」という意思表示だ
師匠はそのころ東京都の教育委員を務め、障がい者療育に注力されている頃だった
さてさて
言ってはみたものの、どうやれば良いものやら皆目見当がつかず、暗中模索。
片っ端から県内の養護学校、盲学校、聾唖学校に電話しまくり「無償で将棋を教えたいのですが・・・」と申し出するも全て断られる始末
まぁ、さもありなん
どこの馬の骨だかわからん人物に突然言われても誰も本気にしてくれねーわな
そんな中、横浜市にある歴史の古い盲学校様で取り上げて頂いた
すんなり出来るかと思えば、これが大変!
学校の外に学生を送り出すだけでも職員会議
公益社団法人日本将棋連盟にも電話が入り「この人物は不審者ではないのか?大丈夫なのか?」と問い合わせが入る始末
有難いことに結局ご許可を頂き、近所のお寺で教室開催
全盲、肢体不自由、色弱の生徒さんが四名通ってくれた
彼らから様々なことを学んだ
「日が暮れると危なっかしくて怖いから、先生の肩借りても良い?」
「はぁ?だって君たち見えないじゃないのぉ?」
「嫌だなぁ。僕らだって暗くなったら怖いよw」
「来月の教室は休みます。学内の卓球大会があるので」
「あ、そっか。頑張れ・・・って君たち見えないのに卓球するのかい!!!」
「嫌だなぁ、僕らだって卓球くらいするよぉ」
「どうやって?よ???」
どうやらピンポン玉に穴が開いているらしく、その音で卓球をやるらしい。
すんげぇスマッシュとかビシビシ決めちゃうらしい。
こういう弟子?に出会えたことが
今の自分を造っている
くっだらねー悩み、落ち込み、自己嫌悪、自暴自棄・・・
数え上げりゃ キリがねぇ~わ
でもよぉ
仮にもこんな自分を先生と呼んでくれた
彼らに恥ずかしくない人間でいよう
これだけは
これだけは忘れまい
と思う