【散文詩】半自動筆記に依る夜想曲(1)-2:『環状列石《ストーンヘンジ》』-2
そんな中で、私には覚えていない事が有った。
倫敦を旅行中に偶然通りかかった或る小道で、何処か気難しい雰囲気の若い女性が、完全さについて私に話しかけて来たのだった。
話題は次第にエスカレートし、遂には訳の解ら無い口論に発展した。私自身も、そして彼女も言って居る事が全く解らず、支離滅裂であったが、
今思い出して、最も心に残った言葉が有った。
「微妙なエロスと云うものは常に、卑猥さとの境界線上の、将にギリギリの線でしか得る事が無いものだと、予め決められて居るのだ」
私は、我乍ら見事な本質を衝いたと思ったが、
これだけ白熱した議論をしたにも関わらず、其の女性其の人の事は、何一つ思い出さなかった。
<続>