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第3話『練習② 〜あ!ぜんぜん”違う”じゃん!〜』

みなさん、こんばんは!
コモンビートで広報インターンをしています、ジュンです。
初めましての方もいらっしゃると思うので、はじめに私のプロフィールを軽く紹介させてください。

出身は茨城県。日本大学芸術学部演劇学科に現在所属しており、「社会に開かれた舞台」について知見を広めるため、インターンとしてコモンビートのミュージカルに関わっています。話せるようになりたい言語は台湾語です。

さて、前回に引き続きそんな私が行うこの連載では、私が実際に関東公演(※)の稽古現場に行った際に感じたことや考えたことを赤裸々に綴っています。
今回は連載第三回目、練習場所で自由にしてみて気がついたことをお送りします。


関東公演とは、コモンビートが7月16日(土)に東京で行った「ミュージカル『A COMMON BEAT』」の再開記念公演。
この記事に書かれているのは、その公演の一週間前の出来事です。



〜前回までのあらすじ〜

 普段は見かけないような元気でちゃんと挨拶をしてくれる大人たちの姿を見て驚く私。
その後、私に与えられたのは、「自由にしていい」時間だった。与えられた自由をどう使えば良いのかと迷いが生じたが(脳内の)トム・クルーズの一言で背中を押され、いざ練習見学へ。
そこで私はある“違い“に気がつく・・・

前回のレポートはこちらから!



2022年07月9日(土) 15:38

(脳内の)トムの助言通り「自由」を実行するため、私はそれまで好きなよ〜に体育館をぐるぐると回ってキャストさん達を観察し続けることに。

今やっているのは各大陸(※)、各シーンでの立ち位置の確認だ。

※大陸とは
コモンビートのミュージカル『A COMMON BEAT』の作中舞台となっている4色の赤、緑、黄色、青大陸のこと。それぞれがグループとして存在しているため、普段から基本的にはその大陸ごとに練習をしたり交流をしたりしています。

今回の関東公演の演出家はぽすさん。
学生の頃からこのミュージカルに参加し、現在はコモンビート職員に。
キャストの人たちに明るく声をかけながらも、真剣に動きの相談をしている姿が頼もしい。

そんなぽすさんは一番前でマイクを握り、その場で立ち続けながらキャストの方々に指示出しをしている。

「はい、次は〇〇いきまーーーーす!」

シーンだけではなく、こちらの気持ちも切り替えられそうなくらいの通る声だ。
そういや演出する人ってみんな声おっきいけどなんか法則でもあるのか・・・

いや、待て待て待て待てそこじゃない!

演出1人に対してこの人数?
キャストさんだけで80人以上いるぞ?
あることが気になって、はなさん(コモンビート事務局長)に確認を取ってみる。

J「あの、演出助手さんっていたりしますか」
は「基本的に専門としてはいないかな」
J「マジすか⁉︎」

演出助手とは、その名の通り演出の助手。
演出家と共に稽古に参加し、その進行をしながら演出家の指示などをメモしたり、キッカケ(「暗転しまーす」とか)を声に出したり、立ち位置や人の流れの整理をしたりする。
とにかく、現場によって細かい内容は変わるが、演出助手とは演出面のサポートをする役割だ(それゆえ、何でも屋さんという認識をされたりもするが)

つまり、

キャストの人数×シーンの数×立ち位置の数×デハケ(※)の数
※デハケ:袖から出たり袖へ入ったりすること

これを100人分管理していくことになるのだ。
(想像しただけでとんでもない仕事量)

しかし、「専門でいない」だけで普段はあんどぅさん(キャストリーダー&コモビスタッフ)やキャストさんがそんな役割をする場面も多くあるとのこと。
確かに専業で仕事をやってもらうよりも関係性のフラットさは保たれる気がするし、すでにキャスト経験がある人がまとめることでスムーズになるのかも。

※もちろん舞台面、音響、照明は専門の方々がされています。

これに限らず現場をよく見てみると、役割関係なくお互いをサポートしている姿をたくさん見かける。

赤の人が青の人を、
黄色の人が緑の人を、
もちろんその逆も。

そのおかげだろうか。
この人数と振りの量なのにスケジュール通りに終わるところがすごい。
他のグループが練習している間がお昼休憩なのだが、その合間も他のグループが練習をしている姿が目立つ。

100人近く人がいたら統率するにも一苦労だが、それを軍隊のように管理していくのではなくそれぞれのグループが生き物のように柔軟に動いている。

だからこそ、個人の裁量が多いという印象を受けた。

「え、そんなの当たり前じゃん?」

と思ったそこのコモビミュージカル経験者の方。
その”当たり前”を実現できていることこそが”特別”で、ある種の違いなのだと私は思う。

演出家やコモンビート職員にパワーバランスが偏ることがなく、参加しているキャストさん達の自主性を奪うことはしない。

何かを運ぶこと一つですら職員の方が指示することはない。
りょうさん(コモンビート理事長)が言うには、基本放置。これが秘訣のようだ。

キャストはキャスト、スタッフはスタッフだと区別をしない。
それに、そもそもここは商業ミュージカル団体ではない!

舞台をおりたあともそれぞれの社会が地続きになっている。
作品が終わったあとの自分でも、この作品で培われた経験が活きるようにすることこそが目的。

だからこそ、この舞台を一歩出た後でも「自由に」できることが必要なのだ。
ここで言う自由とは、自分の頭で考えて物事を選んでいくこと。
多分、それを体感してほしくてはなさんは自由を与えてくれたのだろうか?

そんなことを考えているうちに、もう間も無く全体の通し練習が始まる・・・


⭐︎次回、ミュージカル練習現場の1日目を調査し終え、Jが感じたこととは。

 第4話
『1日目を終えて
〜私って、誰のために舞台してたんだっけ〜』

お楽しみに!



⭐︎関西公演情報⭐︎

【ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ 関西公演】

▼日程
2022年10月2日(日)
初公演:開場 12:30 開演13:00
千秋楽:開場 17:00 開演17:30 ★オンライン配信あり

▼会場
吹田メイシアター 大ホール

▼詳細

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