映画「ポトフ 美食家と料理人」


原題:La Passion de Dodin Bouffant (French),
        The Taste of Things
directed by Tran Anh Hung
Starring: Juliette Binoche, Bennoit Magimel, Emmanuel Salinger, Patrick d’Assumcao, Galatea Bellugi, Bonnie Changneau-Rayoire

19世紀のフランス。美食家のドダン(ブノワ・マジメル)と彼の思いついたメニューを完璧に再現できる料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)の評判はヨーロッパ中に広がっていた。ドダンはウージェニーのことを仕事のパートナーのみならず、人生の伴侶としても見つめていた。ある日、ドダンはユーラシア皇太子の晩餐会に招待されるが、贅沢な食材を用いながらバランスを考えずにコッテリとした料理ばかりが並んだことに失望し、家庭料理でシンプルでありながら、食の真髄を表現するポトフをメインにした料理で皇太子をもてなそうとウージェニーに提案する。大賛成のウージェニーだったが、自身の健康状態がよくないのも自覚していた彼女は、まだ年若い娘、ポリーニー(ボニー・シャニュー=ラヴォワール)が料理人としてとても豊かな感性の持ち主であることを見抜き、自分がもし万一の事態になったら・・・と彼女を自分の下に置き、教え始める・・・

 冒頭の次から次へと手順よく、採れたての野菜を刻んだり、大きな舌平目を煮込むため「専用?」の金たらいみたいなお鍋や、骨つきの仔牛肉を焼き色をつけてはオーブンに、香味野菜ソースをかけてはオーブンに・・・などなどの料理、ジュリエット・ビノシュは、以前に主演した「ショコラ」でもそうだったんだけど、鍋の扱い、お玉杓子の扱いなどなど、調理器具や料理の手つきが実に「艶っぽい」んだよね、ちょっとしたエロ・・・なんだよ、色気がある。
   コンソメスープを作るのに野菜を煮て香りを出し、コクを出し、そして濾す・・・この手間隙かかる過程をワンショットで撮ってる・・・なかなかの緊張感だ。
 
  一緒に仕事をするパートナーでもあり、でも、住み込みだし、美人だし、見つめる眼差し・・・ドダンの方は彼女を人生のパートナー、伴侶としても見ている。でも、この二人で料理を作るという関係性を大切に思ってるウージェニー・・・
  美食家だが、料理の真髄ってものがわかってなさそうな、皇太子の料理人に対して、新鮮な野菜を使った家庭料理でもある「ポトフ」でもてなそう・・・というドダンの提案にウージェニーも呼応して・・・なんだけど、そこから先の物語の展開がなんとも止まっちゃう・・・
ウージェニーと結局、結婚?ん? その幸せを掴みかけた矢先にウージェニーを失ってしまう。ウージェニーが見出したポリーニーもまだ若すぎて・・・あれ? ポトフはどうなったんだ??
  最後に二人の声だけのシーンで「私はあなたの料理人? 妻?」「料理人だ」「ありがとう」という会話・・・ここが最初は意味不明?だとけったいな感じだったけど、後から思うに・・・ウージェニーの一番の望みは「最高の料理人としてあなたと共に歩みたい」だったのだということが余韻として残っていく・・・そういうラストだったのかも・・

ラストに流れる曲が、私も大好きな「タイスの瞑想曲」
ピアノで弾かれるこの曲がとても余韻を大事にしていて心に残った。

にしても、皇太子に出すつもりだったポトフってどんな食材を使ったポトフだったのかなぁ・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?