【実写化映画を観てみよう】映画『テラフォーマーズ』という映画

昨今何かと話題に上がる「実写化映画」
人気のアニメや漫画といった二次元作品を実写に置き換えて映画化するというコンセプトのもと製作されるジャンルです。『るろうに剣心』『キングダム』等大成功を収めるものもあるが、大半は酷評され駄作のレッテルが張られがちで、インターネットで検索しようものなら「〇〇　ひどい」「〇〇　つまらない」と表示されるものも見慣れた光景となりつつあります。

今回は、言われているほど酷いのかどうかを自分の目で確かめてみようという趣旨のもと、一般的に酷評されている実写化作品をいくつか観て、自分なりに感じたことを書いていきたいと思います。

1回目は人気漫画の実写化作品『テラフォーマーズ』です。特異的に進化し人類の脅威となったゴキブリと、動物の力を体内に取りこむ手術を受けた強化人間たちが互いの存亡をかけて戦うSFアクション作品ですね。公開は2016年でメインキャストには伊藤英明、武井咲、山田孝之など、かなり豪華だなといった印象です。見どころとしては超常的な力を駆使した戦闘シーンでしょうか。また舞台となる火星やゴキブリ、手術による変身などの再現なども鍵となりそうです。なお、私は原作ファンとまでは言わなくとも既読状態なので原作との相違点なども観ていきたいと思います。

今回描かれるのは原作の冒頭第一部「バグズ2号編」です。火星を住める環境にするという「テラフォーミング計画」を遂行するため、高額な報酬につられて集まった訳アリの主人公たちが、火星で二足歩行に進化したゴキブリたちに遭遇する、といったストーリー。読者にとっても初めてとなるゴキブリたちとの遭遇や、これからの二部に続いていく伏線も多く登場する章です。

では感想なのですが、とても面白いとは言えない内容だったかなと思います。まず戦闘シーンの迫力が全くないという致命的な欠点があげられます。この作品最大のウリであったはずの戦闘シーンに全く見ごたえがないのです。一瞬で人間を殺せるほどの超常的パワーを兼ね備えたゴキブリが大群となって押し寄せ、それを各々獲得した動物の力を駆使しながら迎撃していく。あの迫力が皆無でした。それはおそらく、スローモーションとCGに頼り切った演出のせいだと思います。CGで製作されたであろうゴキブリ相手に殺陣をする、というのも難しいとは思うのですが、にしても演者が動かなすぎます。ほぼパンチとキックのみでその場からは動かないアクションシーンが終始続くため、面白みがありませんでした。変身による異形も相まって、私は『妖怪大戦争』という映画を思い出したんですけど、調べたら本作と同じ監督の作品だったみたいですね。なるほどと勝手に納得してしまいました。

そのゴキブリですが、ほぼ100％といってもいいくらいの再現度であったと思います。漫画からそのまま抜き出してきたかのような不気味さを醸し出してて、初めて遭遇した際のインパクトも十分だったと思います。また宇宙船の周りに群がるシーンでの、あの這いまわる動きがまさにゴキブリそのもので人によっては鳥肌が立つくらいの再現度だと思います。ゴキブリの表現に関しては文句なしです。

ただ作品のテンポも悪かったです。戦闘シーンが退屈なのもあるのですが、隊員たちのドラマパートも妙に間延びしていたことが原因だと思います。いらないセリフをもっとカットすべきだった。正直名前すら覚えてないキャラクターが大半でしたし、メインどころ以外のキャラクターたちは思い入れなんていらないのでもっとすらすらと退場させるべきだと思いました。またカメラワークもところどころ持て余していましたし、作品の説明などで必要なところもあるとは思うものの無駄が多いなと感じざるを得ませんでした。

演技は可もなく不可もなくといった感じでところどころセリフが聞き取りにくい場面があるだけでした。というのも、アクションシーン以外だとぼそぼそ喋るシーンがほとんど。キャスティングでかなり期待していましたが、そこでも少し肩透かしを食らった気分でした。ただ本多を演じた小栗旬は面白い演技で、唯一印象的なキャラクターであったかなと思います。

今作は総じてキャラクターへの愛着がほぼ出なかったのが寂しかったです。ゴキブリのインパクトに完全に負けていたのが原因ではないかと思います。キャラ設定をいじったことによる展開の変更も特になく、個性だけが死んでしまっています。特に蛭間。天才ハッカーという設定を新たに得たもののそれが生きる描写はなく、また彼の見た目や出自等のコンプレックスを感じられる描写もなく、ただ能力で生き残ったやつでしかないのが非常に残念でした。アクションシーンや変身にも迫力がなく、ゴキブリを見るためだけの映画と化してしまったことが酷評の理由ではないでしょうか。

まとめると、ゴキブリを見るためだけの映画だったなといった印象です。
そこしか見どころが無いんです。死んだキャラの個性、だらだらしたドラマパート、迫力のないアクションシーンと持ち味が完全になくなっていました。ストーリーについてはあらかじめの知識があったためついていけましたが、初見の人がどう感じるのかも気になるところですが、少なくともゲbb策を好きな人が見て面白いと感じることはないかと思います。

『テラフォーマーズ』の感想は以上となります。今回だけですでに公開している部分があるのですが、面白い作品に出会える日に期待して、また実写化作品を探してみようかと思います。