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顎関節症という歯科医療被害 3-5 画像診断について(3)

(46~47P)

[図7]復位性顎関節円板転位
[図8]復位性顎関節円板転位
[図9]非復位性顎関節円板転位

 [図7・8]には復位性、[図9]には非復位性の顎関節円板転位の症例がMR画像で示してあり、[図10-12]では変形性顎関節症の症例が提示している。この著者はそれぞれを典型的な例として解説しているのだが、提示される写真はどれも「矢印祭」状態であり、MR像の構図についてまともな説明文が全くない。
 先にも解説したように円板軟骨の前方転位に「復位性」などなければ「非復位性」もないのであるが、46〜47Pの図7〜10に示されたこの著者のMR画像診断の誤診については後で解説することとする。

 どうしても解せないのだが、[図9]の非復位性顎関節円板転位とされる症例の画像を観察すると、既に患者の下顎頭は後ろ側からすり減って平坦に変形している様子が伺える。

私が[図9]開口位のMR像を拡大したもの
Cと示されているのが下顎頭であるが、
黒い緻密質の内側にある白い骨髄の先が
鋭角になっていることから
下顎頭の後部分が顎関節の後壁に押し付けられて
すり減るように変形している様子が伺える。

 意図せずとも物が磨り減れば先が尖るものだと理屈抜きに分かることだが著者はその変化を「骨棘形成(osteophyte)」としている。外人かぶれのエリートが横文字で何と呼ぼうが、患者に起きている現象は「下顎頭の変形」であり、骨変化を伴わない顎関節円板障害(Ⅲ型)を逸脱した顎関節骨格の変形である。これを「変形性顎関節症(Ⅳ型)」と呼ばずに、何をもって変形性顎関節症と区別するのだろうか。顎関節症専門医が診断マニュアルで1型から5型まで細かく区別しているようでも、実際には顎関節症の分類に何の意味も無いのである。

「保存療法が奏功しなければ、
   パンピングマニピュレーションが
        (中略)必要な場合もある。」

と[図9]の説明が終わるのだが、このように骨が変形している状況を把握できないまま消炎鎮痛剤を処方され、患者がこれまでと変わらぬ生活を送れば症状が悪化して骨格の変形が進むことは確実である。
 なお、「パンピングマニピュレーション」とは、注射針を刺して患者の顎関節を人口の関節液でパンパンに膨らました後、術者の手によってゴリゴリと患者の顎を無理矢理引っ張り、その次には顎関節をこじるようなキチガイ地味た滅茶苦茶な医療行為である。パンピングマニピュレーションによって無理な外力が加わり患者の顎関節が更に損傷を受けて症状が悪化することはあっても、当然だが既に変形してしまった骨格が元に戻って治癒することは物理的にあり得ない。

「変形性顎関節症(皮質骨断裂)」と題して[図10]にMR像があるのだが、その解説には医療人として、とても信じられないような彼らの診療概念が記されている。

「下顎頭皮質の断裂(erosion)がある
      典型的な変形性顎関節症で、今後も
         顎関節部では骨変化が継続するため、                             この時期に手術や咬合治療の
                                                 適応はされない。
     症状によっては(中略)皮質骨の修復、
        骨棘形成、下顎頭萎縮に移行するため、
                        移行後に診療方針を決定する。」
 

[図10]変形性顎関節症

日常生活の顎運動で骨が変形してしまうほど異常な状態にある患者(18歳女性)に対し、どうやら顎関節症専門医は骨が変形している原因状況も禄に考えもせず、患者の骨が潰れ終わるまで顎関節の症状を野放しにするようである。
 患者が自分の身体に異変を感じて専門外来を訪れたとしても症状が重篤化するまでそ知らぬふりをされるか、あるいは全く意味の無い低侵襲な医療行為で誤魔化され続けるかして、顎関節症専門医は患者相手に外科ごっこ出来る日をほくそ笑んで待ちわびているのだ。低侵襲だろうと、医学的妥当性がない処置で患者の身体に一本でも針を刺さそうものならば、それは傷害行為である。
 説明文では顎関節の症状が経過によって推移していく事を明示しておきながら、「移行後に診療方針を決定する。」というのは何故なのか。患者の顎関節に骨変化が起こる様子をモルモットのように何例も観察して来た顛末を顎関節症専門家は知っているはずであるが、臨床経験から患者の今後の予測が出来ないということは顎関節骨格が変形する現象原理について専門医は全く理解していないという事である。そうでもなければ彼らは確信犯的に患者の症状が重篤化することを狙って、外科ごっこを楽しむチャンスを待っているのである。どちらにせよ医療人としてとんでもない悪行である。













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