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#ショートストーリー
[ことわざ新解釈/ショートショート]後日談
隣町の女が玉の輿に乗ったらしい。
たまたまガラスの靴のサイズが合ったくらいで、男前の王子様から求婚され、あれよあれよと王子妃になったそうだ。
どうも出自不明の女らしく、それまで屋根裏部屋に住まわされ、家の手伝いなどを押し付けられても反抗もせずに従っていたともっぱらの噂だ。
どうせその薄幸な部分をアピールして結婚にまで持ち込んだ、あざとい女なのだろう。
それにしても、ガラスの靴か。
確かに、薄幸
[ショートショート]草の自己紹介(毎週ショートショートnote参加作品)
「私の地元はこんな薄暗いところなんかじゃなくて、それはそれは綺麗なところでね。青い海と真っ白な壁の家に囲まれていたんですよ」
ピエールと名乗る草の自己紹介が続いている。
「我が家のご主人はいつも手入れしてくれていましたよ。こんな伸び放題の庭なんかじゃなくてね」
延々と続く自己紹介で分かったのは、こいつが運悪く渡り鳥に運ばれて遠くからやってきたという事と、人を不愉快にさせるやつだという事だけだった。