【学校教育】声を出して読んでもいいんだよ
子供が本を好きになってほしい、文章の内容を理解できるようになっててほしいと親も教員も願っています。しかし、「うちの子は本が嫌い」「児童は文章の内容を理解することができていない」という声をたくさん聞きます。
筆者も子供が本を好きになって、文章の内容が理解でき、豊かに知識を獲得してほしいと願っています。
今回は、読書嫌いに繋がる学校教育の一コマを取り上げます。
学校教育は、学力の向上や学習規律の確立などの観点から、朝読書や隙間読書などの読書を推進しています。ついては、筆者もその重要性を感じています。
しかしながら、その取り組み方には、問題があると考えています。問題の要因は学習規律を重視する考え方にあるのかもしれません。
学習規律のを重視するがゆえ、多くの児童が一斉に読書をする時間には、声を出してはいけないいうきまりを設けている学校が多くあります。
他者に迷惑をかけてはいけないというマナーが優先され、黙読を余儀なくされるのです。
「〇〇ちゃん、お隣の子の邪魔になるから、声を出さないで」
「〇〇ちゃん、みんな静かに読んでいるでしょ」
と、先生が声を出した子に声をかけます。
学校によっては、声を出さないで、朝読書をさせる先生がすごいという風潮まであります。(先生は学校の方針に従っているので、むしろ正しいのです)
しかしながら、この言葉が、小学校低学年にとっては、読書嫌いや読めない子を生んでいるのです。
そもそも、語や文、文章は、音を繋げて意味を理解します。小学校低学年のひらがなやカタカナ、漢字を覚えたての児童にとって文意を捉えるためには、音が必要なのです。
め だ か
と、声をだすから、音同士が繋がるから「めだか」と語を認識できるのですし、
く ま く ん は は し り ま し た
と、声を出すから、「くまくん」「走りました」と、文意を捉えることができるのです。
その段階の児童に、声を出さないで読むことを強いると、急に文意が捉えにくく、圧倒的に読者への負荷が高くなります。
文字を読み始めた幼児が声を出すことや、大人も難しい英文を読む時に思わず声を出してしまうことを想像すると、音が認識にとっていかに大切かをご理解いただけると思います。
このように、声を出さないようにする言葉がけが、結果的に、「本を読みたくない」「本、嫌い」と言う児童、「読書」と聞くだけで、敬遠する子を育てているのです。
ですから、読書をする時は、どんな時でも、
「声を出して、読んでもいいんだよ」
「小さな声だと、迷惑にならないよ」
と、伝えてあげてください。
どうしても声を出せないのであれば、声を出して読めるスペースや部屋をつくってあげてください。
これが筆者の願いです。
【コラム】
小さな声は、無声音のことです。無声音の声の出し方がそもそも難しいお子さんもいますので、教えてあげてください。
それから、読書が終わったら、
「どんなお話だった?おもしろそうだったね。」
と、本のおもしろさを共有してあげてください。
それこそが本当の読書の楽しみです。
家庭教育においても、同様のことが言えます。文字を読んでいる子に、「うるさい」「テレビの音が聞こえないでしょう」は、厳禁です。