笹子越ぇ
地図で笹子峠を見て越えて見ようと思っていたが、それが可能になるのは10年以上過ぎてからの事である。
5月初めのある平日、10時38分頃高尾駅を発つ電車に乗り甲斐大和駅で降りた。小渕沢行きであるのにも関わらず車内は東京の地下鉄と同じ横長椅子で先頭車と最後尾車にしかトイレがなく、その通路挟んで隣りは横向きの椅子だったが先頭車には先客がいて、最後尾車のトイレの隣りの椅子に座った。この椅子の困った所はトイレの隣りであることと進行方向と逆向きであるだけでなく車掌と目が合いやすいことである。車内には客が少なく、上野原で殆ど降りてしまった。乗車時間は1時間程であったが充分楽しめたかどうかは覚束ない。
甲斐大和駅で降りる人は数人で、改札口に駅員もいない。平凡な山中の駅で駅前に商店も少ない。高尾駅で降りて何か買って行ったのは正解だった。CVSがニ軒あるくらい。そうして駅周辺には観光施設としてめぼしい物も無く、ぐるりを回ってから国道工事事務所前の歩道橋まで行って折り返した。甲州街道駒飼宿の方へ行く。古い民家があるので観光地なのだろう。
旧甲州街道を登って笹子峠に向かった。途中小学校跡の山がありそこで昼食をとった。笹子峠に至る道は明るい印象だったが、峠のトンネルを過ぎると鬱蒼とした森の中を歩くという感じになった。峠を挟んで甲斐大和側は甲州市、笹子側は大月市だが大月市側は道案内などが古く観光に力を入れないようである。舗装された道はぐねぐね曲がりくねっているが古地図で見ると沢登りの直登の山道であったから、国道として整備する時に自動車が通りやすいように改良されたものだろう。トンネルが出来てからは県道日影笹子線と成云。
急勾配の山道は廃れたようだが、歩いて登るには旧道の方が早く着くかもしれない。矢立の杉の前を通ったが記念碑の味付けが濃く興ざめ。そしてここも鬱蒼として薄暗い。そうして山を降りて笹子の駅に着いたが、改札内の蛇口からお湯(鉱泉?)が出たので疲れが癒せる。駅は無人で帰りの電車まで時間があったから構内を良く観察できたが、カメラの電池が切れて中途半端な所でおしまい。
笹子は大月駅から見ると袋小路のような所で、現在リニア実験線のトンネルが掘られたようだが御坂峠へ向かう道はなく、摺張峠越えの道もあったようだが地図で見ると廃れたようである。もし道があったのなら笹子駅から御坂峠を経る歩行ルートも考えられたのに残念だ。行き帰りの電車も自粛のためがら空きで、これは全国的な現象だから仕方がない。ただこれが一時的現象なのか変革現象なのか判然しない。そのためリニア新幹線が出来ても利用客はあるのだろうかと思った。
公共投資のあり方がどこかおかしいと思うのは私だけだろうか。