【ASD】反社会的な行動の解決につなげる関係性のはなし
過去に、反社会的行動をとった子の親からの相談、対応に追われた時期がありました。男女一人ずつ。どちらにもASDの診断があり、男性は軽度の知的障害、女性に知的な遅れはありませんでした。
今日は、「反社会的行動の解決には情動の共有が必要」というお話しを考えます。
先ずは二者関係 そして三者関係をつくる
臨床心理士 愛甲修子さんの本、「脳みそラクラクセラピー」では、反社会的な行為のあるY君の話しが興味深く参考になりました。
本では、反社会的行為をとる Y 君との二者関係、三者関係がつくれたことで、その行動(万引き、暴言、火遊び、恐喝)が消失した、という事例が載ってます。
まず、驚いたのは、万引き、暴言、火遊び、恐喝などの問題行動が消失?
これは、似たような相談を受けた私にとっては大きな手掛かりでした。
引用します。
一見すると、誰もが想像できる言葉の羅列のように思われるかもしれませんが、問題行動の本質はとてもシンプルだということが分かります。
愛甲さんが療育で行ったのは「遊び」でした。それも二者関係を時間かけて構築していったものなので、「一気に解決」といった薬のようなものではありません。
そもそもY 君は、発達に遅れのみられたお子さんだったそうなので、治療過程でゆっくりと成長を見届ける地道な治療だったことも、本を読みながら想像できました。
ただ、なぜ愛甲さんと遊んだら問題行動が消失したのか?という疑問は残ります。
本でも、「遊びで関係性がつくられると、なぜ反社会的行為が減るのか?」
といった質問がありました。
ふたり遊びで情動の共有ができるようになると問題行動は消失する
神経発達症(ASD、ADHDなどの発達凸凹)の子どもの場合、母親が関わりを持っても課題があるのは、皆さんご承知の通り。
それは、神経発達症の子を育てる親御さん、支援者が実体験として持っているものだと思うのです。
では、愛甲さんが面談でやった「遊び」とはどういうものなのか?ということがポイントになる。
詳しいことは本を読んでもらった方が分かるかと思うのですが、ザックリいうとこんな感じでした。
本では、遊びの種類を書き出しながら、更に3つに分類されています。
ふたり遊びでも、身体遊び、象徴遊び、ことば遊び、と特徴があります。二者関係が構築されると三者関係をつくれ、問題行動は消失するようなのです。
また、遊びは、ひとり遊び → ふたり遊び → 集団遊び へと変わってゆくことで、人間らしい社会との関わりがつくられてゆくとありました。
情動とは
これらの感情を共有することで、二者関係が構築されてゆくようです。
Y 君の記録は、本に掲載されていますので詳しいことは、ぜひ本を読まれて下さいね。
反社会的行動が消失した記録を読んで活かされたこと
反社会的行動をとった子の親からの相談、対応に追われた頃、私はこの本を知りませんでした。なので、もう少し早くこの情報を知りたかった…と残念に思い、悔しい気持ちにもなりました。
でも、非行や犯罪加害を繰り返す行為を終息させる、大きなヒントを得た喜びは大きいですし、情動共有の難しい子でも、二者関係、三者関係で行動を変えられることが分かったこと、事例があることは大きな希望につながりました。
Y 君は、問題行動が消失したら集団遊び(サッカー、野球、トランプなど)へ移ったようです。
また、大人の場合も例外なく解決に向かうことができます。
実際、成人になってから娘と私との関係性に大いに役立ち、周囲にも勧め、実感してもらってきたからです。
悩まれている方は、ぜひ一度読まれてお子さんの発達にお役て下さい。
ありがとうございます。これからもどんどん更新してゆきますので、どうぞよろしくお願いします!