【終演報告】どこにでもいる人たちの物語が何よりも尊い『セイレンノート リプライズ』【ミュージカル】
4月23日、Seiren Musical Project2023年度新歓公演『セイレンノート リプライズ』が無事、千穐楽を迎え、終演いたしました。
たった1ヶ月ほどの対面稽古期間。
怒涛の振り入れとBU、荒通し、通し、小屋。
千穐楽を終えた後に企画さんとお話をしていて、「1週間前は最終通しだったんだよ」と言われた時はびっくりびっくり。
元々ダンス経験者だったわけでもなく、自信があるのは歌だけで、歌をやるつもりでせいれんに入団したんですが。
有難いことにアンサンブルとして選んでいただき、7曲ものナンバーで、セイレン民の大事な概念としての役割を主にダンスで務めさせていただきました。
振り入れが怒涛すぎて無理なのでは…?と心折れそうになった時もありましたが、たくさんの方に支えていただき、たくさん教えてもらって、アドバイスをもらって、自分でも動画を見返して、少しずつ形を綺麗にしていく作業は今思い返すと楽しかったです。
キャストとしてこのカンパニーに関わらせていただく前に作詞としても一足先に参加させていただいていました。
今回はそんな作詞にこめた思い、セイレンノートリプライズの作品への想いなどを編集後記?作詞後記?的な感じで綴ってみようかなと思います。
久しぶりのnoteなので、日本語がおかしいかも…ご容赦ください。
作詞はこのセイレンノートリプライズが初挑戦でした。個人的に詞を書いたりすることはたまにあったのですが、こんな風に自分の書いた詞を誰かに読んでいただいて、擦り合わせていく作業は初めてだったので少し照れ臭くもあり、嬉しくもあり。
今回私が担当したのはM6とM12の作詞でした。
2曲とも今作から加わる新曲であり、作詞先行の楽曲でした。
つまり、私が書いた詞から今作の音楽監督である石渡さんが作曲をしてくださると。
震え上がりました…まともに作詞をしたことがない人間が書いていいものかと。
演出さんと脚本さんがとてもとても丁寧にフィードバックをくださり、解釈の擦り合わせまで丁寧に丁寧に進めてくださりました。
そのおかげで自分の進むべき方向が間違っていないか常に確かめながら作詞をすることができたので、安心して取り組むことができました。感謝感謝です。
追記: ここで、リプライズがどんな物語なのか全く事前説明をしていないことに気がついた。一応観劇されていない人にも分かるようなnoteにしたかったのに失態!補足しますね。
「セイレンノート リプライズ」
あらすじ🌸
昔は300人規模の大規模ミュージカルサークルだった「セイレン」だが、今や部員はたったの5人。活動実績もないため、「解散候補団体」に選出されてしまう。「セイレン」の解散を阻止するために新入生の楓の登場でライブをしようと意気込む…。セイレンは解散を阻止することができるのか?
短くまとめてしまうと、弱小ミュージカルサークルが解散阻止のために尽力する青春物語なのです。
M6 もう一度
M6は杉田が過去の挫折から挑戦することに臆病になっていたが、楓ちゃんの登場により、そんな過去を抜け出して前に進んでいきたい…今度こそは何か自分にもできるのかもしれない…!と希望をもつナンバーです。
この歌詞を書くにあたって、杉田の気持ちのグラデーションを最も大切にしました。
できるのかな…?という迷いからできるのかも!!という確信に近い決意に向かっていくラスサビにかけての気持ちの昂りを歌詞でも表現できていたらいいなと思います。
こちらは石渡さんの音楽の力で素晴らしい仕上がりになっていました…本当に良い曲。
M12 これまで。
こちらはセイレンの解散が決まったあとに、ノートを見たセイレン民が歌うナンバー。
インスタのストーリーでも書いたのですが、これは「挫折から立ち直る一つ前の段階」の曲です。何かに挫折した時、自分をさらけ出して悔しがることができる人もいるかもしれませんが、多くの人は平気なふりをすると思います。「仕方なかったよ」「がんばったし、たのしかったし」綺麗な言葉を並べて、その気持ちに嘘はないのだけど、それでも奥底にある本当の気持ちには触れていない感じ…?セイレン民のそんな心境を歌詞で表現したいと思って書きました。
私は特に和田ちゃんの歌う歌詞がお気に入りです!
「少しだけ」好きになれた自分
それだけでいいんだよね〜と和田ちゃんの歌詞には大きく頷くことができて、やって良かったという言葉通り、和田ちゃんにとってセイレンでの日々が結果に関わらず良いものだったんだなと思える歌詞でお気に入りです。(自画自賛)
M解釈なるものもしてみたりして、作品についてはたくさん考えたんですが、やっぱり終演してみて、他の人の色々な感想も聞いてみて、改めて思うこの作品の良さは「登場人物がどうしようもなくどこにでもいる人物であること」だと思いました。
普通、主人公として採用されるには「普通」ってキャラだったとしても途中で驚くべき才能が開花して活躍したりだとか、戦いで発想の天才で驚きの勝利を収めたりだとか、そんな刺激的な展開の中心にいるのが主人公です。
でも、このセイレンノートリプライズの中での主人公は、挫折して、小さなミュージカルサークルの復活のために尽力したけどやっぱり無理だった、そんなあまりにもどこにでもいる大学生で。それこそ舞台役者の道を諦めて就活してる大学生なんていくらでもいるし。
そんな、まいっちゃうくらい普通の人たちしか出てこないところがこの作品の良いところだと思います。
みんなあまりにも普通だからこそ、共感できるし、応援できるし、結果も飲み込める。
みんなやろうとしたことがままならなくて諦めて、やってみたけど失敗して。どんでん返しなんかなくて失敗したらずっとそのまま。
でもみんな懸命に生きてるんですよね〜。
それでもいいんだよって認めてくれる物語が必要だったんだと。今回今作と向き合ってそう思いました。
あ、あとおまけなんですけど、後二つくらい面白いなポイントあります。
これは私がキャストグルでど長文のM解釈を流した時におまけで書いた文章なのですが、セイレンノートの魅力を熱く語りすぎてて長文のノートにぴったりだと思ったので引用します。
なんで「セイレンノート」なんだろう?って言うのは私の中の永遠のテーマでした。
架空のミュージカルサークルでもいいのに、なんでわざわざ「セイレン」が壊れてしまう物語を作ったのだろうか、と。
それはコロナの流行で先行きが見えない不安に襲われたことも理由の一つだろうし、それに関係なくサークルという舐められがちなポジションに対する皮肉でもあるだろうし。
いずれにせよ、「セイレン」が壊れる話を入団する前に見た新入生はラッキー!強い!
失ってからしか大切なものに気づくことができない人が多い中で、それでも出来るうちにやってみよう、って思えるような作品になったんじゃないかなと。
ある意味すごくポジティブに向けさせてくれる作品だと感じました。
長くなっちゃったけど、この作品が大好きで、この作品に作詞として、そしてキャストとして参加することができて幸せでした。
いつ失うかわからない全てのものを抱きしめて生きていきたいです。
この日々も出来る限り抱きしめて生きていきます!そのためにこんなnoteにして残しておきます。
公演の成功にご尽力くださった全ての方々に深く感謝を込めて。
ありがとうございました。