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フリーランス翻訳者、復帰を一時棚上げにする

ぎりぎりまで仕事をして出産を迎えましたが、将来的に実務のフリーランス翻訳者として復帰する意志ははっきり持ちつつも、具体的にいつごろから復帰するのかを考えることはできないまま、子どもを育てる日々は過ぎていきました。

わが家の状況ですが、どちらの両親とも同居しておらず、私の実家は車で2時間の距離、夫の実家は県外で、私の母は父の介護をしており、夫の実家も商売をしていましたので、実際に私が仕事に復帰するためには保育園などの預け先を見つけることがどうしても必要でした。

・産前に預け先のことを考えられなかった理由
これは私のごく個人的な事情ですが、子どもを授かるまでに10年近くかかり、子どもとの未来を考えていた矢先に妊娠に至らなかったことがわかるという経験を、実際に授かるまでに数えきれないほど繰り返してきました。そのため、いざ妊娠に至ると、少し先のこと(妊娠何か月でこう、出産グッズの準備、産後のお世話、保育園など)を考えてからやっぱりだめになってしまったらどうしよう、という恐怖心が強く、結局日々の仕事に最後までかまけて妊娠中に預け先を検討するまでに至りませんでした。

子どもの預け先を考えるのは母親一人ですべきことではなく、父親となる夫もいたのですからもっと頼ればよかったのかも、と今になって思いますが、夫は夫で預け先のことは後々なんとかなると思っていたようで、子どもの誕生前に比較検討するところまではしていませんでした(とはいえ、出産グッズの手配などは率先して行ってくれました。私は抱っこひもさえ自分で選びませんでした…)。

漠然と、「預け先のこと考えておいて」といった表現で何度か話を振ったような記憶があるのですが、今考えると、「ここからここの地域でいいと思う園をピックアップしておいて」とか、「勤め先の人たちに保活の話聞いてきて」というように、具体的な言い方で情報収集を頼んでおいたらよかったかなと思います。

・産後もなかなか検討が進まなかった理由
1.(単純ですが) 育児に忙殺された
いざ赤ん坊が生まれると、はっきりした正解がわからないまま子どもの欲求に答えを出さなければならない日々が唐突に始まり、先のことを考える余裕がまったくなくなりました。子どもが寝たり隙間時間ができたりしても、自分の体力回復のために休むことと家事をこなすことのほうが優先度が高く、預け先を検討する力までは残っていませんでした。

  1. (これまた単純ですが)生まれてきた子どもが愛おしかった(愛おしすぎた)
    長年待ち続けていた赤ん坊をいざ腕に抱くとやはりどうしようもなくかわいく、同時に「ひとつでも何か間違えたらこの子の命が終わってしまうのではないか」という強迫観念に似た思いがわきおこり、この子のすべてを自分でみたい、とても外には預けられない、と強く考えるようになりました。最初の3カ月は夫に任せるのも怖いと感じていたので、当時は極端な考え方になっていたと思います。

  2. 市の待機児童の状況が厳しかった=預けるなら0歳から
    首都圏ほどではありませんが待機児童が多い自治体で、0歳児クラスでもほとんど埋まっていたり、1歳・2歳児クラスに至っては4月の受け入れ人数も0人であったりする園が多く、いずれ仕事に復帰するなら0歳から預けないとなかなか入園できない、という話を聞いていました。

育児休暇を取っている方々は原則1年で休暇があけるので(預け先が見つからない等の事情があれば最長2年まで延長可能とのことです)、必然的に1歳児クラスへの希望が多くなります。年齢が上がるにつれてクラスの定員を若干増やす園が多いですが、とはいっても「若干」であり、0歳児クラスから持ち上がる園児たちが大半なので、いざ子どもが1歳、2歳になってから希望を出しても空きがなくて待機することになる可能性が高い、ということでした。

「0歳児からでないとずっと入園できないかも」という話を聞いても、私はすぐに入園希望を出そうという気になれず、逆に一度仕事復帰に向けて動き出してしまったら、まだ1歳にもならないうちに子どもを外に預けなければならなくなるのでは、と怖くなりました。それならしばらく子どもとしっかり向き合うことにして、復帰のことはいっそ棚上げにしよう、と思うに至りました。

そろそろ復帰して預け先を探し始めてもいいかも、と思ったのは、子どもが1歳半くらいになったころでした。まだ手元に置いておきたい気持ちもありましたが、このころになると子どももしっかりしてきて、外に預けても大丈夫なんじゃないかな、と思えるようになってきていました。それに、子どもに体力がついてパワフルになってきて、日中ひとりで面倒を見る限界を感じていたことも、具体的な検討を始めた理由でした。翻訳の仕事を再開するためというよりも、日中子どもをみてくれる人手が必要になってきたという意味合いのほうが大きかったような気がします。

次回は、預け先を探し始めて感じたフリーランスならではの難しさなどを書こうと思っています。

お読みくださってありがとうございました!

[旧ブログ2021/10/3の記事より転載]

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