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頼るということ

ずっと苦手だった。
人に甘える、頼るということが。

それは、自分は弱い人間なのだと
認められなかったということな気がする。

今わたしは、心底
人に助けられ支えられて
生きていることを実感する。

人は一人では生きられない。
その意味を、ようやく知った。

例えば、どんなに優れた能力があっても
競争の中で勝ち抜いていっても
ゴールテープを切った時に
誰も待っていなかったら、どうだろう。
嬉しいだろうか。

人は無意識のうちに
誰かと競い合うことで
その人と関わり
誰かに褒めてほしいから
懸命に走っているのかもしれない。

そう考えると
生きていけるような気がしてくるのだ。

わたしは最愛の人を亡くして
まずは夫が献身的に支えてくれた。
それから心を許せる友人たちに
いつも話を聞いてもらった。
久しぶりに連絡をくれた親戚と
以前のように親しく話せるようにもなった。

そして、それだけではなく

仕事場に行くと、沢山声をかけてもらえる。
会いたかったとか
あなたが必要だとか
嬉しい言葉を頂くこともある。

普段も、ちゃんと感謝しているつもりだった。
でも、今回ばかりは
それがどんなに心に染みたか
どんなに涙が出るほど救われたか
わからない。

きちんとまっすぐ
人を信頼し、心を開き
「頼る」ということが
恩返しなのかもしれない、なんて
最近思うのだ。

必要とすることは
必要とされることだ。
そのことに気づく。

愛はいつも相互的なものだ。
だから美しい。

わたしは、大丈夫かもしれない。
生きていけるのかもしれない。

それはみな
誰かがわたしにくれた感情で
自分では作り出せなかった感情で
そのことに今
とても感激している。

ありがとう。
世界。
これからも
よろしくお願いします。

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