見出し画像

海のそこ

ここは海のそこで
だからそれ以上下はない。

そんな気がした。

ひとりで海面から少し下がった位のところで
ばちゃばちゃやっているよりも
たとえ深度が深くても
あなたと手をつないでいる
今のほうがずっといい。

もしも永遠に浮かび上がれなかったとしても
あなたとふたりならば
怖くない。

今ある場所を
今もっているものを
大事に大事に撫でるように。

暗くてもいい。
元通りでなくていい。
何も出来なくてもいい。

生きている。
息をしている。
心臓の音が聴こえる。

それだけ。
大切なことは、それだけ。

海のそこで
わたしは静かに微笑んで
ゆっくりやっていこうと
呟いた。

光さす、その日まで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?