恋のようだ
生きることは清新で
匂い立つ恋のようだ。
台詞を覚え
本番の張りつめた空気の中で
発語する。
その瞬間にも似た
痛みに近いような
極限の賭け。
それが本当は
瞬間瞬間、生きている
わたしたちの人生に
起きていることなのだ。
わたしはわたしを
何一つ知らない。
わたしは世界を
何一つ知らない。
わたしは恋人を、友人を、家族を
まだ何一つ知らない。
わたしは政治を歴史を、思想を生活を
まだ何一つ知らない。
新しい皮膚。
新しい唇。
新しい文字。
新しい歌。
新しい軆で、飛び込んでゆく。
この世界は
こんなにも眩しい。
この世界に生きる人たちは
こんなにも可能性に満ちている。
世界は変革し続けるだろう。
わたしの恋は
心音を刻み続けるだろう。
まだ変わらなければならない。
それだけが
生きるということだ。
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