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ポートレートの構図

1 はじめに

 皆さん、こんにちは。伊達市の橘内です。
 広報写真に役に立つ撮影方法などの技術や思い、心構えなどをお伝えする8回目となります。
 今回は、モデルになってくれる方がいたので、広報写真で使う際のポートレートの構図をテーマに話をしてみたいと思います。
 モデルになってくれたのは菊田瑠香さん。2年前にインターンシップで市役所に来た際に1日だけでしたけど、広報紙づくりを体験してもらいました。そのつながりで翌年1月号の表紙写真のモデルになってもらったり、伊達市の魅力を発信するサポーター「だてフォト部」を務めれました。現在は、伊達市を元気にする取り組みを行う会社に勤めている傍ら、女性5人で立ち上げた「だてがーる」の1人として伊達市内で人と人をつなぐ取り組みをしているなど、伊達市が大好きな女の子です。
 では今回のテーマ「ポートレート構図」。いつも同じ構図になってしまうとか、いつも日の丸構図で真ん中に被写体とおいて正面や左右の斜めしか思い浮かばないというような方へ、少しでも気づきやヒントになればと思います。

2022年1月号の表紙。まだ学生だったときにお友達と一緒にモデルになってくれた菊田瑠香さん(左側)。1月でお正月というところで市内で由緒ある霊山神社で撮影しました。

2 背景を上手に使う

 ポートレート撮影では、つい画面中央に被写体を置いたバストアップかアップの構図が多くなりがちだと思います。少し引いたフレーミングでポーズ、表情や向きを使うと、画面中央からずらしてもしっくりきて、背景を上手に使うことができます。こうすることで、紙面の左右や上下にレイアウトした時に背景を利用した紙面作りや雰囲気づくり、重ね文字と言った具合にバリエーションが広がっていくかと思います。
 被写体を中心から外して、いろいろなポジションに置いた構図で撮ってみましょう。その際に、手のポーズを入れて左右に動かしてみると収まりのいいところが見つかると思います。また、その際に表情や向きにも注意してみるといい感じに仕上がります。

背景を利用するときの構図のパターンの例で、縦に二分割して被写体と背景に分けました。イメージは大きな絵や装飾のついた壁など背景に使う際に使う構図になります。今回はいい場所がなくて歴史を感じる引き戸にしました。背景を利用することでどういう場所にいるのかを伝えたりできます。また、背景を利用して重ね文字をしたりすることも考えて背景をうまく利用できるように考えてみましょう。

3 目線の方向に空間を作る

 背景を上手に使うことにつながることですが、顔や目線の方向を意識して空間のバランスを取るとドラマティックな演出につながります。
 空間づくりの基本は、顔と目線の向きです。顔と目線の方向に空間を作るようにしてください。それを基本として意図的に逆方向に空間を作ることで、別のバリエーションにもつながります。顔や目線の向きを基本にイレギュラーもありとして、空間作りをしてみてください。

目線の方向に空間を持たせた構図の例です。空間を持たせることで、電熱球を見つめて何かを考えているような印象を与えたりすることができます。
被写体を中央にした構図では、電熱球は気にならなくなって、ただのポーズをとった写真かなという印象になってしまいます。
体の向きとは逆側の空間を持った構図ですが、振り向いた目線の方向と合っているため、違和感のない構図となって目線の先に何があるのかな〜と思わせることができます。
目線に空間を持たせる構図ではありませんが、広報紙で押さえておきたい写真として、紙面の右側か左側かによって、真ん中ではなく六分割の右側左側に合わせた構図にすると紙面に落としたときに使いやすい写真になります。
よく撮りがちな被写体を中央に置く構図です。バストアップの写真にトリミングして使うなら問題のない写真ですが、このままの構図で大きく使おうとすると使いづらい構図となってしまいます。目線に合わせた空間と紙面に落としたときに必要な空間を考えて撮影してみてください。

4 アップで狙う時は大胆に

 アップで人物を狙うのはポートレートで定番な感じですが、顔全体を入れようとするとバリエーションが限られてきます。その時は、目線や手のしぐさを生かして顔の一部をカットして、大胆に迫力を増した印象の構図で撮影してみてください。
 顔や頭の一部をカットした構図は、慣れないとなかなか思い切って撮影できないかと思います。でも大きくフレーミングすることで、目線が強調されて印象は強くなります。また、一方の側の画面内に納まっていれば、切れている側は画面の外側に続いているかのように感じられ、それほど違和感が出ないです。
 ポイントとしては、両方の目が切れない構図にすることで、なかなか思い切れない時は、画像ソフトなどでトリミングしてバランスを掴むと良いかと思います。

正面から顔のアップで撮影したものです。どうしても普通というような印象になってしまうので、キレてもいいからもっとアップで手の仕草などを入れてみましょう。
もっとアップで、手の仕草を入れてみた写真です。切れていても違和感なく感じるかと思います。さらにアップにしたことで印象が強く感じると思います。
アップの写真の縦バージョンです。頭まで入れようとすると手の感じが入らず首から上だけの写真になってしまい違和感のある印象になってしまうので、その場合は頭はキレてもいいので手の感じがわかるくらいの構図をとってください。
少しローアングルから、下向きの目線で撮った一枚です。上の写真と比べて印象が全く違うと思います。クールな印象を与えたいときは、少しローアングルから目線を下げてもらって撮るとクールでかっこいい写真になります。

5 広角の動きと中望遠〜望遠の落ち着き

 広報紙のポートレートは、明るい雰囲気で撮影しやすいかと思いますが、時には動きのある構図を狙ってみたいと思うことがあるかと思います。また、全身を入れた構図を撮りたいという時もあるかと思います。そこで動きのある構図で撮影する際は、広角レンズで近づいて撮影し、全身を入れる際は中望遠レンズでかなり離れたところから撮影してみてください。
 まず動きのある撮影ですが、広角レンズは30mm以下、できれば20mm以下で撮影すると動きが出やすいと思います。広角レンズは奥行き感が強調され、手前を大きく、離れると小さく写るので、手を伸ばしてもらうのが簡単でやりやすいと思います。ポイントは近づかないと人物が大きく撮れないので、思い切って近づいてみてください。
 次に全身を入れた構図では、広角レンズで全身を入れるのではなく、中望遠から望遠(80mm~200mm)で広角とは逆に思いっきり離れて撮ってみてください。理由としては、広角では歪みが大きくなるため、できるだけ歪みのない中望遠から望遠のレンズを使って全身のきれいな写真を撮りたいからです。

必ず持っているだろうと思う標準レンズのワイド端の24mmで撮影しました。手を前に出してもらいましたが、24mmでも奥行きが感じられる写真が撮れ、動きがより出しやすい写真となります。
ちょっとしっとりした印象に撮ってみました。ちょっとポージングしてもらうだけども印象が変わりますし、動きの表現が出しやすいので、広角レンズで寄って撮影することも試してみてください。
こちらは標準レンズのテレ端にあたる120mmで撮ってみました。テレ端にして押さえたい構図になるように離れて撮影しています。いつも同じ位置でズームレンズでアップにしたり引いたりしているかと思いますが、ワイド端はより近くテレ端はより離れて、自分の足を使って撮影してみてください。
全身を入れるときは、階段などを使って少しローアングルから撮影すると、脚長効果だったりしっくりした印象になるので、前後の距離プラス撮影者と被写体の高低差も利用してみてください。

6 大きなボケを入れた構図で幻想的に

 一般的に背景をぼかして被写体を目立たせる、あるいは背景をはっきり写したくない場所だからぼかすなどを考えてボケを使っているかと思います。また、遠近感を出すために前ボケを用いる場合もあるかと思います。
 遠近感で使っている前ボケを画面の半分以上の使った構図で撮影すると、幻想的な雰囲気を作り出すことができるので、思い切った前ボケを使って撮影してみてください。その際、光の当たる壁やガラス面を使うとより効果があるので試してみてください。
 ポイントとしては、大きな前ボケを使い、主題となる被写体の人物へストレートに目がいくようにするために、ごちゃごちゃしたところではなくシンプルな情報が揃っているところを使ってください。学校の廊下のような長い壁や窓ガラス、公園などにある長い柵など使う撮りやすいと思います。大きく前ボケを使う中でボケの色味を考えて光の当たる時間帯など工夫するとより幻想的な仕上がりになります。

前ボケを思いっきり半分くらい使って撮影した写真です。被写体が構図の中で小さいにも関わらず、前ボケが大きく取ってあるから目線が自然に被写体に向きやすい写真になっていると思います。
上の写真はこんな感じで撮影しています。前ボケを大きく使いたいので撮影する距離はかなり離れないと撮れないですので思いっきり離れて、望遠レンズか標準のテレ端側で取ってください。このときは70-200mmの望遠レンズの140mmあたりで撮影してみました。
同じく前ボケを使った写真です。こういった一見何もないところはしゃがんで、地面を前ボケに使ってみると落ち着いた写真になります。何事も工夫で写真に利用できるので周囲を見て利用できそうなものを使ってみましょう。

7 最後に

 ポートレートの構図について、自分で考えたり気をつけていることを書かせてもらいました。皆さんもそれぞれ自分なりのパターンやマニュアルを持って撮影されているかと思いますが、私のお伝えしたことから使えるものがあったら試してみて自分なりの引き出しを増やしていってください。基本的な構図というのはありますが、正解不正解はないと思います。住民の皆さんがみて笑顔になる、写真から物語を想像したり伝わる、そして広報担当の撮影者の気持ちを感じる写真が正解だと思います。皆さんの創意工夫で行政への親近感を作り、身近に感じる広報紙作りを行ってください。
 最後にご協力をいただいた菊田瑠香さんが活動する「だてガール」について紹介させてください。伊達市は5町が合併して誕生した市ですが、その5つの町をそれぞれ担当する5人で「だてがーる」を構成しています。先月誕生したばかりの自主的に伊達市の魅力を発信する5人組は、インスタグラムとYouTubeを持っているのでぜひフォローをお願いします。
 だてがーるInstagram:https://www.instagram.com/date_girl5/

 だてがーるYouTube:https://www.youtube.com/@user-yy5px7he2i

 8回目は、ポートレートの構図についてお伝えしました。次回をお楽しみに!

また、次回を楽しみに〜。撮影場所:国重要文化財「旧亀岡家住宅」

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