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取材現場に着いたら、すぐに写真を撮りますか

 はじめまして、伊達市の橘内です。橘内と書いて「きつない」と読みます。うちの集落が発祥なので全国に橘内さんがいたらきっと伊達市と関係がある人だと思います。
 私のほうでは、広報紙で使用する写真の撮影方法などの技術的な話や、思いや心構えなどの精神的な話を中心にお伝えしていきたいと思います。
 すごい講師陣の中に私が入っているのは間違いではないかと思いますけど、普通の人がいてもいいのかなとポジティブに捉えて務めていきたいと思います。でもめっちゃ、不安だな〜・・・。皆さまと一緒に勉強していけたらと思いますので優しい目でお付き合いください。

記録写真になっていませんか

 さて、皆さんは取材に行ってどんな写真を撮っていますか。その写真は使用できる写真ですか。
 はじめはなかなかうまく撮れないと思います。なんか違うけど、何が違うのかわからないって感じではないでしょうか。
 その原因は、メッセージ性が込められていたり、伝わる写真ではない場合がほとんどです。要するに「記録写真」になってしまっているからです。広報を数年経験されている方ならわかるかと思います。担当課に写真を任せてしまうとたいてい記録写真が送られてきます。会議やイベントの様子だけで、その写真からメッセージが伝わりません。同じように広報担当となって、取材でなんとなく撮影していると記録写真になってしまいます。広報担当となった時に感じる違和感や、最初に当たる壁はそこではないのかなと思います。

参考例1−1:ハンドベルもお客さんも雰囲気もと全部入れようと欲張ると、キャプションで「ハンドベルの演奏会」と書かないと分からないほど、臨場感もない記録写真になってしまいます。
参考例2−1:コロナ禍で無観客で行われた剣舞の奉納。無観客や雨の中といった状況はわかるけど、どんな思いで舞っているのか伝わらない写真になっています。
参考例3−1:登山の一コマでいい感じではありますが、もう少し何かほしいと思わせる写真です。
参考例4−1:紅葉の登山で楽しそうな雰囲気は伝わるけど、もうちょっと紅葉の雰囲気を足したいと感じる写真です。

広報写真を撮るポイント

 私なりの「広報写真」をポイントをいくつかお伝えします。

  • すぐに撮影を開始しない

  • 写真は静止画、足し算引き算を大切にする

  • 注目する人を決めて追ってみる

すぐに撮影を開始しない

 取材対象のイベントや会議など、すべて内容を把握しているなら別ですが、広報担当でもそこまで知っている方は少ないかと思います。まずは、撮影する前にどこを撮るべきなのか、どの場面がふさわしいのか、盛り上がるいつか、キーとなる人いるのかなど、観察から始めましょう。
 また、会場を見まわし、見る場所や角度の違いによってどう写るのか、撮影する場所も考えてみましょう。「急がば回れ」ということばがあるように、準備を重ねてから撮影することで、枚数も抑えられて選ぶのも楽になります。焦る気持ちが出るかもしれませんが、20年ほど前はフィルムの時代です。その時代の広報担当者は、予算で準備できるフィルムは1カ月数本。ISO感度の違うフィルムを駆使して、100枚も撮れない中でいかに伝わる写真を撮ろうとしたのかって想像してみてください。必然的に要点を絞って効率の良い写真を撮っていたことがわかるかと思います。 

参考例1−2:ハンドベル演奏会の取材に来たのだから、まずはハンドベルの演奏だとわかる写真は抑えておこうととした写真です。
参考例5−1:秋の風景、コスモスを撮った写真です。それなりに秋らしい雰囲気

写真は静止画、足し算引き算を大切にする

 写真は静止画です。動かない画像で、時には紙面に書く言葉以上のインパクトを与えたり、紙面の文章を際立たせたりしなければなりません。そういった写真を撮るために、被写体とそのほかを足したり、引いたりして撮影で、感じたイメージや思いを表現してみてください。
 また、撮影していて気付くことがあるかと思いますが、自分の好きな距離や角度があって、自然とどれも同じ感じで撮っていませんか。私が広報担当になった頃は、ズームを使ったり寄りで被写体をアップで撮る写真ばかりでした泣。そういった場合は脇役となる人や景色などを足したりして撮影する必要があります。
 イチゴのショートケーキは、イチゴが主役でもあり、生クリームのケーキを引き立てる役割もあります。私として生クリームが主役で、生クリームをいっぱいにしてほしいです笑。そんな話ではなくて、イチゴも生クリームどちらも必要で、どちらか一方では物足りません。写真も同じように主役だけをアップで撮っても伝わらないこともあります。周りの背景が主役を引き立てることもあるので、最初は寄りでアップで撮ったり、引きで広角で撮ったりしながら感覚をつかんでみてください。

参考例1−3:ハンドベルの演奏の中で一人に絞って撮った写真です。一人に絞ることでベルを鳴らす臨場感を伝えたいと思い、ズームで撮った写真です。
参考例2−2:コロナ禍で無観客、しかも雨の中でもしっかり舞って剣舞を奉納するんだという気持ちを伝わるように寄りで撮った写真です。
参考例3−2:紅葉の岩の上で眺望を眺めている雰囲気が伝わるよう、引きで撮った写真です。
参考例4−2:見頃を迎えた紅葉を引きで広角、しかも縦で撮ることで、絶景の紅葉の中を楽しんでいる雰囲気を伝えようと撮った写真です。
参考例5−2:どんよりした曇り空でしたが、あえて白い空をバックコスモスの透明感と秋らしい爽やか感じを伝えたいと思い、ローアングルから寄りで撮った写真です。

注目する人を決めて追ってみる

 観察しているうちに、よく目に留まる人、気になる人が見えてきます。気になったらその人を追ってみてください。
 気になる人は何かしら発信していたり、伝える力のある人である場合が多いです。その人を追うことで、読者の目をひいたり、写真が物語を伝えてくれます。
 ここで注意することは、その人だけ撮ればいいのかというと、それだけでは足りません。ご飯と一緒でメインデッシュだけでは引き立ちませんので、メインデッシュに合った付け合わせも準備が必要です。気になる人を追いながら、メインカットを想像して撮影することで、その他に必要な写真が見えてくると思います。その見えてきたイメージに合うように他の写真を撮るように心がけてください。

引き出しを増やすこと

 今回は、「広報写真」の1つの撮影方法をお伝えしました。この1つで全てに対応できるわけではありませんが、いろいろな引出しをつくっていくことが「広報写真」、「伝わる写真」につながっていくと思います。今後、バージョンを上げて、撮影方法やテクニック、カメラの設定など、広報写真に役に立つ内容をお伝えしていきたいと思います。皆さんの中で、困っていることやテーマにしてほしいことがあれば気軽にコメントください。

 また、趣味で撮った写真をインスタとフェイスブックで投稿しています。その中で気になる写真などあったら気軽に「撮影方法を教えてなど」コメントいただければと思います。
 インスタ @skikitsu
 フェイスブック 橘内清隆

最後は自分の写真で締めます笑。東北の紅葉はいいですよ〜。


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