シーン別カメラワーク
1 はじめに
皆さん、こんにちは。伊達市の橘内です。
広報写真に役に立つ撮影方法などの技術や思い、心構えなどをお伝えする11回目となります。
投稿10回目を超えましたね〜。2カ月に1回のペースで投稿していますので、もう少しで2年になります。投稿を始めたときは広報紙を作っていて、3回投稿したところで異動となって、異動先でも2年目を迎えました。月日が経つのは早いものです。そんな過去を思い起こして、4月から異動されて広報担当として奮闘されている方も多い方と思いますし、異動されてきた方に撮影方法を教えたりされている方もいると思うので、私も初心に帰って広報の仕事の中で撮影することの多いシーンを想定した「シーン別カメラワーク」をお伝えしたいと思います。
初心者の方は必見、何年もやられている中堅、ベテランの方も初心に戻ると思って読んでいただけたらと思います。
2 インタビュー
広報紙を作る上で、インタビューをすることって多いかと思います。そんな時ってインタビューのメモや録音などで、いいシーンの時に限って写真が撮れない、どこで撮ったらいいのって思うことが多くないですか。
私の場合は、インタビューの記事に必要なお話を全て聞いた後で、雑談をしながら写真を撮っていました。なので、バチバチたくさん撮るというよりは、左右、正面などレイアウトの中で必要な構図のものを撮ったら終わりという感じで撮影をしていました。
理想は、2人で取材に行って聞き役と撮影役に分かれれば最高なんですが、なかなかそういかないと思うので、1人でインタビューする場合はそんな順番でやってみてください。そこで撮影のポイントは次のとおりです。
(1)光
①窓際の柔らかな光が差し込むところで、蛍光灯の電気は消して撮影する。
②暗い場合や夜間の撮影では、ストロボを活用して撮影する。
③ちょっとしたテクニックとして被写体の目に光(キャッチライト)を入れて撮影する。
※室内の場合、蛍光灯と太陽光だったり、蛍光灯と電球色だったり、部屋によって光が色が違うものが混ざり合う場合があります。そうするとカメラのセンサーがどちらかの色に引っ張られて、思ったより、黄色だったり、緑だったりするかと思いますので、窓際で光が差し込むところがあったら、電気を消して撮影してください。逆に太陽光の暗い場合は、①とは逆に自然光がないので蛍光灯をつけて明るい部屋にして、ストロボを活用してみてください。また、普通のインタビューではやらないと思いますが、大きな写真で掲載したいと考えているときは、ぜひ、目に白い光が写る「キャッチライト」を試してみてください。ぐっとかっこいい写真になります。
(2)表情・ポーズ
①口が開いている時に撮影する。
②話す時に手元が動いている時に撮影する。
③声をかけて笑ったり、柔かな表情を引き出す。
④あごを引いて話をしてもらう。
(3)撮影の高さ
①被写体のあごや鼻が目立たないように平行からやや上側の範囲で撮影する。
②メガネをかけている場合は、フレームと目が重ならないうな高さで撮影する。
(4)構図
①被写体のアップと離れたカットの両方を撮影する。
②掲載するページや位置を考えて、右向き、左向き、正面を撮影する。
③背景などに被写体の紹介につながるものがあれば構図に入れて撮影する。
④対談の場合は、相手の肩や頭越しに被写体を写した写真を撮影する。
3 イベント
広報担当として、まちのイベントを撮影することも多いと思います。というかほとんどのイベントに取材に行くという方もいらっしゃると思います。そうすると毎週、毎週取材に追われて、写真をたくさん撮りすぎて選ぶのも一苦労という感じで、がんばればがんばるほど自分の首を絞めるようなジレンマに襲われると思います。そこで、ポイントを押さえて効率よく写真を撮って自分を楽にしてください。
(1)光
①室内などで暗い場合には、できるだけストロボを使ってください。
②照明が電球色の会場(コンベンションホールのような場所)では、ホワイトバランスを調節して、自分の出したい色に合わせてください。(電球色を残すのか、できるだけ白く違和感なく写すのか。)
※イベントものは動きが出るので、特にシャッタースピードを気をつけて撮影してください。遅くとも1/800くらいにしておくと心配なく撮影できます。
(2)表情・ポーズ
①インタビューと同様に、口を開いている、手元を動かしている時に撮影する。
②ステージに複数人いる場合は、全員の目が開いている写真を使用したいので、枚数をある程度撮って目が開いていることを確認してください。
(3)構図
①来場者全員の撮影許可が取れない場合は、会場の後方から後ろ姿を絡めて撮影する。
②引きのイベント全体感のわかるカットを撮影する。
③望遠などで撮影する範囲を絞って、圧縮効果によりたくさんの人が写り、イベントの盛況な感じがわかるカットを撮影する。
④イベントが伝わるようステージなどで披露する方の単独カットを撮影する。
4 宣材写真
広報紙やHP用に物撮りする機会もあるかと思います。息を呑むように集中して微妙な光や影が気になり、なかなか撮影が進まない、どう撮っていいかわからないということがあるかと思います。
物撮りは特に光や構図を気をつけて、ポイントを押さえてもらえればいい写真が撮れると思いますので参考にしてみてください。
(1)光
①柔らかな光が差し込む部屋(窓辺)で撮影する。
②暗い場合はLEDなどで左右や真上などから光を当てて撮影する。(影を作りたい方向や、影を作らないようになど工夫してみる)
(2)高さ・角度
①被写体に対して斜め上側45度くらいを標準として撮影する。
②真上、真横も撮影する。
③被写体の輪郭がわかる角度・背景で撮影する。
(3)構図
①手に取った様子の部分を切り取るなど、使い方が想像できるように撮影する。
②関係のないものは写り込まないように撮影する。
③必要な場合はロゴや商品がわかるようなものと一緒に撮影する。
④果物やお菓子は割って、液体や粉末、粒状のものは中身を出して撮影する。
5 集合写真
広報担当だと、広報紙に使用しない場合でも取材先で出会ったグループの方々の集合写真を撮ってあげたりする機会がよくあると思います。私の中で集合写真のポイントは構図(配列)にあるのかなと思います。四角なのか、ひし形なのか人か集まる形をかっこよく並べてあげるとグッと良くなります。また、思っている以上に人と人の間を詰めるというか寄ってもらう、特に前後に並んだときは後ろの人が少し前に寄ってもらうなどしてきっちりくっついてもらうと、ピントの微妙なずれもなく全員の目にピントが合うように撮れます。特にフルサイズを使っている方は集合写真を撮るときには、絞りをある程度絞って(F5.6〜8)前後の人のピントが合っていないという写真にならないようにしてください。
(1)光
①明るい部屋で撮影する。
②暗い部屋ではストロボを使って撮影する。
(2)表情・ポーズ
①笑顔や生き生きとした表情をおさえる。(みんなで「⚪︎⚪︎市」「⚪︎⚪︎町」って声を出して撮影するなど)
②好きなポーズをとって撮影する。(手をあげたりする場合に後ろの人と重ならないように注意する)
③撮影したらすぐに確認をし、目を閉じている人がいたら必ず撮り直す。(最低3枚、できれば5枚くらい撮影する。)
④髪型や服装が乱れている人がいたらなおしてもらう。
⑤あごを引いてもらう。
(3)構図
①角度は正面で撮影する。
②台や脚立があれば使用して、やや上から撮影する。
③主役がいる場合は、中心や前列に入って撮影する。
④人と人の距離を詰めて(斜めに重なるのように)撮影する。
⑤人数によって並び方を変えて撮影する。(例:4人まで横1列、5〜8人は2列以上)
⑥小柄人は前列、大柄な人は後列に立ってもらって撮影する。
6 終わりに
今回、ご紹介したのは私なりに気をつけてきたポイントの中で、広報担当になった方や、担当となって1年が終了した方に役立ちそうなポイントをお伝えしました。全てが正解ではないし、もっと押さえるポイントは他にあるのかもしれません。なので、私のポイントを参考に自分なりにアレンジしてください。
最後に、ただ何も考えずに撮影するほど、相手に失礼なことはありません。しっかり持てる知識と技術、想いを込めて撮影に取り組んでください。そして相手の想いや人柄を写してあげてください。
では、また次回をお楽しみに〜。