SNSにおける攻撃
youtubeでハーバード大学の内田舞さんがSNSにおける攻撃の種類についてお話しされていたので自分の中で整理する意味もこめて書こうと思います。
1. Whataboutism
whataboutismは造語だと思いますが、つまりwhat about you (あなたはどうなの?)ということですね。これは自分の意見に対してなにか意見があったときに、そっちはどうなんだ?と相手の欠点などを指摘することで本来の議論の的である自分の意見から論点を避けることです。これは攻撃というよりは論点ずらしと言えるかもしれません。
内田舞さんが挙げていた例として、内田さんが日本での性犯罪について言及した際に「性犯罪が日本より多いアメリカに住んでいるあなたが日本のことを語るな」という反応が多くあったと話しています。そもそも日本とアメリカでは性的同意の年齢が異なっていたり、件数の数え方も異なります。なので日本とアメリカを比べるといった論点はずれていて本来は日本で性犯罪をどのように減らしていくべきかという議論にならないといけないということです。このwhatabouismはSNS上でとてもよく見かけるように思います。
2. Gaslighting
gaslightingとはガス灯の意味。ガス灯はイギリスの演劇で、DVを行う夫が妻に対して自分が悪いのではないかと思い込ませて心理的にも攻撃をするといった内容です。このことから、被害者であるにも関わらず自分が悪いのではないかと思わせることをgaslightingと呼ぶようになりました。
具体的な例として、大坂なおみ選手が心理的な要因からテニスの試合後にインタビューを欠席した事例があります。
アメリカのあるキャスターはSNS上でこの大坂選手の行動に対して批判的投稿をします。さらに大坂なおみ選手の宣材写真が公開されると、「テニスのインタビューには出られないのにカメラには顔を向けられるのだ」といった揶揄するような投稿もしています。これに対して大坂選手は「自分は自分のメンタルを守るためにインタビューを欠席した。しかしだからといって全てのことが出来なくなるわけではない。またその写真は半年以上前のものだ」と返しています。結局大坂選手はそのキャスターのアカウントをブロックしましたが、キャスターはそれを対話から逃げたとしてさらに批判をしました。
ここがgaslightingのポイントではないかと思います。インタビューを欠席したことを攻撃されている大坂選手が、さらに対話から逃げたのだからあなたが悪いのだとするような部分です。SNS上でたまに「この人にブロックされました。こいつは逃げたので悪いやつです」とスクリーンショットの写真を上げる投稿がありますが、それはこのgaslightingの事例に当てはまることもあると思います。
3. Straw man strategy
straw manとはわら人形のことです。ここでは相手の意見を歪めて、それに対して反論などを行うという意味を指しています。なぜそれがわら人形なのかはいまいち分かりませんでした。
具体的な例として、コリン・キャパニック選手(アメリカンフットボール選手)がBlack Lives Matter (BML)の抗議活動の一つとして試合前の国歌斉唱、国旗掲揚の際に起立をせずにひざまづく行為をとった事例があります。
SNS上ではこの行為に対して、「国旗掲揚で起立をしないのは、アメリカを守る米軍に対して無礼だ」と批判する投稿が一定数あったようです。ここで考えなければならないのはBMLの抗議が米軍に対して無礼だという意見を歪めて解釈し主張している点です。内田舞さんは「例えば下着にもアメリカ国旗は使われていて、それに対しては米軍に無礼だという発想はないはず。なのに何故この場合だけその主張を持ち込むのか」と話しています。
これもSNS上でよく見られる攻撃の仕方だと思いますし、正しくその問題を理解できていない場合がよく見られます。
以上の3点についてまとめてみました。SNSに入り浸りになりがちな中ですごく大切だなと強く感じたので意識していけたらと思います。
参考にした動画を以下に張っておきます。
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