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ときどき日記(119)村上龍「半島を出よ」の社会背景が今と紙一重だ
9年前にメンタルを崩壊させ、休業を余儀なくされたとき、なんとかがんばって読んだ。
しかし、自分の読書力も崩壊していたのか、多くの事が記憶に残っていない。
あるいは、そもそも記憶として格納できていなかったのか。
いずれにせよ、却って、新鮮な気持ちで読み返すことができている。
社会背景が今と紙一重だ。
国際情勢がおかしくなり、円安が進行した日本社会で事件は起こる。
物語が進んでいくなかで詳細な社会背景は明らかになっていくが、今、日本は酷似した社会に向けてカードが1枚1枚めくられている。
為替介入で外貨を使い果たすし、財政も破綻し、国民の財産の4割が国に没収される。
次のカードをめくれば、この絵柄が完成するかもしれない。