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神社に墓がない理由と墓を持たないお寺の真実──経済事情から見える寺院の違い
今回は、民俗学研究員の雲です。
最近、京都のお寺や、西国三十三箇所巡礼の旅をやってて思いました。
最近みた神社仏閣、どこにも墓がない!
うちの親戚のお墓はお寺に中にあります。
お寺とは、法事などでお坊さんがお経を唱える所だと思ってました。
根本的にお寺のことがわかってない気がしてきました。
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超常現象や神仏など信じない私ですが、神仏について記載している文献は歴史書として学ぶことが多いし、礼儀作法や精神を鍛えるという面において素晴らしいと思っています。
単純に神様に祈ってさえいれば、幸せになれるとか、モテるようになるとか、年収が上がるとか、YouTubeの再生数が伸びるとは思えないだけです。
何事も損得勘定を軸に調べると物事に本質が見えてきます。
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1.宗派関係なくお寺や神社などの平均年収
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると
お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収は、525万1300円です
会社員の平均年収は433万1000円です。
会社員よりお寺や神社の平均年収のほうが約92万円高いです。
宗教は非課税ですが、社会的な責任も負ってますし、現実問題としてお金がないと生活もできませんので批判する気は全くありません。
経済的側面から見ると、高額所得を得ることができる素晴らしい事業と思います。
これだけで、全員儲かっていると言い切るのは乱暴なので、神社とお寺の違いや、お墓を持つ持たないなど違いもあると思いますので、掘り下げてみます。
2. お寺といえば墓地ということはない
10歳のときに、お寺で鬼ごっこをして全力疾走して曲がり切れずに墓に突っ込んで、墓が倒れて和尚さんにめちゃくちゃ怒られたことがあります。
(悪意のない純粋な私だけが蔵に閉じ込められてたのですが、通りがかった散髪屋のおばちゃんに助けてもらいました。今年の夏に実家に帰って、散髪屋のおばちゃんに会うと、恩着せがまししく未だに昔話をしてきます)
そのせいで「お寺といえば墓地」というイメージがありますが、まず神社には墓がありませんね。
また、お寺でも墓地を持たないところはかなりあります。
神社とお寺の違い、さらに墓地の有無が経済面に与える影響について考察してみます。
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2. 神社が墓を持たない理由
神社は、仏教と異なる「神道」に基づいて運営されています。この宗教的背景が、墓を持たない大きな理由です。
• 神道の基本理念
神道では「死」は穢れ(けがれ)(汚れとは違います)とされ、神聖な場所である神社には埋葬などはダメだそうです。
なので神社にお墓はない、神道のみの方は神社ではなく「墓地」に埋葬します。
• 歴史的背景
寺に墓をつくるようになったのは、平安時代からとされています。
お墓が一般庶民にも建てられるようになったのは江戸時代中期ごろと言われています。
(幕府がキリスト教徒を見分ける方法として、寺請け制度によって、全ての住民がどこかのお寺の檀家にさせて見極めた)
• 役割の違い
神社は、自然崇拝や地域の繁栄を祈る場であり、死者の供養を行う場所ではないそうです。
このため、墓地を持つ必要がなかったのです。
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3.神社の収益状況
簡単にいえば、一部の有名な神社以外は、儲かっていません。むしろ苦しそう。
年間収入の分布: 2016年に神社本庁が全国の神社を対象に実施した調査によれば、年間収入が300万円以下の神社が全体の約6割を占めています。
収入源: 神社の主な収入源は、参拝者からの祈願・祈祷料、お札やお守りなどの授与品の販売、御朱印、氏子(その神社に参る人)からの会費ですね。
経営の厳しさ: 地方の神社では、氏子や参拝者の減少により、収入確保が難しくなっていますね
4. 墓を持たないお寺の役割
墓地を持たないお寺はたくさんあります。
神社と同様に「墓地管理」を主な活動をしてません、別の役割を担っています。
• 修行道場としての役割
書写山園教寺や奈良の東大寺のように、僧侶の修行や仏教の学問研究に特化した寺院では、一般の檀家や墓地の管理は重視いないようです。
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• 観光や巡礼寺院としての役割
一条寺のように、巡礼者の受け入れや観光地としての役割を果たすお寺もあります。
寺の収益源は巡礼者や参拝者からの寄付や参拝料になります。
5. 墓を持つお寺の役割
墓地を管理しているお寺は、墓を通じて多くの檀家(お寺に通う人、まあ信者ともいうのですかね)を抱えることが多いです。
ビジネスライクにいうと、建物の拝観料でなくて、住職さんへの労働への対価を払うイメージですね
• 経済的安定
檀家からの寄付や永代供養料、法要料などが主な収益源となり、寺院の運営資金を支えています。特に都市部では墓地の利用料が高額になることも多く、大きな収益を生むことがあります。
• 檀家との長期的な関係
墓地を管理するお寺は、檀家と継続的な関係を築きやすいという利点があります。これにより、法要やお布施といった定期的な収益が上がりやすい。
6. 墓があるお寺とないお寺の経済事情の違い
墓地を持つお寺のメリットと課題
メリット: 墓地の使用料や法要料が収益の柱となるため、安定した運営が可能。
課題: 墓地の維持管理にはコストがかかる。少子化や人口減少により檀家が減少し、収益が不安定になるお寺が増えてきている。
墓地を持たないお寺のメリットと課題
メリット: 墓地の管理が不要なため、人手やコストの負担が軽減される。観光や修行道場として特化した収益モデルを持つことが出来る。
課題: 参拝者や巡礼者に依存するため、安定収益を確保するのが難しい。特に地方では訪れる人が少なく、お寺の存続が困難。
7.お寺の収益状況
最新のデータが見当たらなかったのですが、バブル期のデータです。
簡単にいえば、一部の有名なお寺以外は、儲かっていません。
年間収入の分布: 昭和60年代の調査では、曹洞宗の寺院の約40%が年間収入100万円以下、約27%が100万~300万円、約11%が300万~500万円、約13%が500万円以上と報告されています。
収入源: 寺院の収入は、檀家からの護持会費や葬儀・法事に対するお布施に依存しています。
経営の厳しさ: 檀家数の減少や高齢化により、寺院の運営が厳しくなっているケースが多く、住職が他の職業と兼業する例も増えています。
8. 調査結果まとめ
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・神社が墓を持たないのは宗教的な理念に基づくものである
・墓地を持たないお寺には、それぞれの歴史や役割が反映されていて観光業という側面が大きい
・墓地の有る寺には檀家中心で供養が目的
・人口減少、信仰や供養を行わない人が増えているので変化に対応しないと神社仏閣も経済的に成り立たない
西国三十三箇所巡礼は、コンプリートすれば閻魔帳から名前を消してもらえるという煩悩が動機となってますが、マナーやルーツなど価値観の違う文化に触れるのは楽しいです。
ということで、これでいいのかなと思いつつ、今回のお話を締めさせて頂きます。
長文最後まで読んで頂きありがとうございました。