日記11/24 慌しくも【サマルガンド年代記】の泡は正しく
以前の日記を投稿してから、2ヶ月ほど時間が経った。
下書きには途中まで書くも投稿せずじまいの言葉が並んでいる。
声に出せずに喉元で詰まった言葉、
と書けば隔靴掻痒(かっかそうよう)な気持ちみたいだけど。
実際は。
思ってもない言葉を書いてしまい、「違うな」となったり。
思ってもない言葉は書けすらできず、「何も思いつかないな」となったり。
思っていても表に出せない言葉を、恨み辛みを裏に綴りて嗜んでいたり。
そんな言葉遊びをゆっくり考えれないほど、時間に追われていたり。
多忙な人はネットやSNSに姿を現さない。私も然りか。
そんな言葉に似た文言をどこかでみたな、と考えて出たのが先ほどの引用文である。
というわけで。
棚の本をペラペラとめくりながら、ネタを探すと、【サマルカンド年代記】があった。
大層な名前だけど、
ちくま学芸文庫版の厚みは漫画3巻よりも薄い。
書かれた時代は1988年。
王族の重たい年代記ではなく、
「年代記に書かれた内容」の前半と、
「幻の年代記をめぐるスペクタクル」の後半部に大きく分かれている
難しいことのないフィクション冒険譚だ。
けれど中世の伝説的な暗殺教団から、
800年後のパリやイスタンブール、
近代の革命盛んな中東やアメリカのタイタニックに飛んだりと
ダイナミックな時間の進み方は、時代モノ好きにはたまらない。
イスラムの四行詩が随所に挟まれながら、
景色は砂漠の街から欧米の都会へと移っていく。
引用される言葉も様々な時代や地域の偉人の言葉が混ざり合い
ジャーナリストののような淡々とした言葉は、
歴史の時間軸の中で現実か虚構か分からなくなり
ハラハラ感を与えてくれる。
とまあ。
ざっくりとだけ紹介はしたけれど。
私がこの本をパラパラめくる理由の一つが、作中で何度も書かれるイスラムの四行詩(ルバーイイ)がどれも面白いからだ。
日本の場合、川柳や和歌の面白さを知っていると思う。
それがイスラムの場合、四行詩になる。
たった4行だけでその人の人生観や性格まで分かる名句だと思う。
なんか最近アニメをやっているBLEACHのポエムにも登場しそうだ。
サマルガンドをもじってそうなサマトリアは、ドラゴンクエストだったか。
最近Ⅲのリメイクが出て、話題になってる。
と、勝手に時事ネタを連想しつつ。
詩の言葉を反芻し、意味を考えながら眠る夜は素敵な寝心地だ。
君は問う 私たちの生命の息吹きはどこからと
では答えよう 長すぎる話を縮め
それは深い海の底から上ってくるのだと
そして海は また急に飲み込んでしまう
この四行詩を、タイタニックに乗ろうとしてる人物に読ませている作者はいやらしい。
けれどこの四行だけをこうして眺めながら考察すると
海のうねりを想像しながら、その波が立てた泡沫こそ我々みたいな気になってくる。
天文について知っていれば、地球を含めこの世界は「宇宙の泡構造」と呼ばれ、巨大な泡のような形をしていることと重ねられるかもしれない。
ともあれ、泡を生み出すには波が必要だ。
こうして日記を書かないと、私のNoteの日付は止まったままの凪である。
乾いた砂漠から始まった物語が、広大な海に沈む名作があるように。
私の言葉も、砂粒ほどの文字数であっても積み重ねていこうじゃないか。
なんて適当な締めくくりをしながら
また日記をちゃんと掛けたらいいなと自戒する23時50分でした。