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地方の再開発が失敗する理由


結論:

地方創生、地方の再開発が不発に終わってしまう理由は、
”人口規模と需給に合わない開発をしてしまうから”です。
別の言い方で″過剰開発″
↓下は、木下斉さんの狂犬・木下斉の「地方創生のリアル」YouTubeチャンネルです。

この動画内でも、地方の再開発が失敗する原因について解説しています。

再開発事業”アウガ”

アウガは、青森市新町の中心商店街に立地しています。
かつて、官民連携して図書館やイベントホール、商業施設のテナントを誘致した複合型施設の再開発事業として、地方都市のコンパクトシティ政策モデル事業の象徴として開発されたビルです。


アウガは2001年開業。
アウガは、8階建てビルで立体駐車場も併設しています。
併設している立体駐車場からは、それぞれの階のフロアに直接往来が出来るように連絡通路とエレベーターが整備されています。
オープン当初は、確かに注目を集めていました…
開業当年の2001年、売り上げは計画を大きく下回り約23億円。
約2億5000万円の最終赤字を計上しました。
オープン当時のテナント構成は以下の通りです。
地下1階:生魚を販売する海鮮市場
1階:10代から20代前半の女の子向けのアパレルショップ
2階:20代から30代前半の女性向けのアパレルショップと雑貨店
3階:20代メンズショップと雑貨店
4階:100円ショップと雑貨店、市役所提供の無料パソコン利用コーナー
5階:青森市男女共同参画プラザ カダール
6階〜8階が、青森市民図書館

再開発事業に関わった人の思惑では、立体駐車場に車を停めたお客さんが、4階3階2階と上層階から下に降りてくる”エスカレーター効果”を期待して、このようなテナント編成にしたとの事でしたが、見事に予想を外しました。

エスカレーター効果は幻

上層階から下の階に降りて行くことで、それぞれの階のテナントへ集客し消費促進を狙う思惑は、開業1年目で頓挫します。
エスカレーター効果は、幻想だったのです。
その理由は、地下1階や1階2階のテナントを目的にした客は、立体駐車場も目的のテナントに近いフロアに車を駐車します。
5階〜8階の公共施設を目的にしている客は、上層の5階〜8階の立体駐車場に車を停めます。
図書館に本を貸りに来た人が、わざわざ1階2階の女の子向けのアパレルショップに行くのか?
反対に、地下1階の市場に海産物を目当てに来た人や、1階2階の女の子向けのショップを目的に来たお客さんが、わざわざ5階6階7階の上層の立体駐車場に車を停めに行くのか?
2階3階の立体駐車場が満車だとしても、目的のテナントに近い駐車場を狙って車を停めるのが来店者の心理です。
目的以外のフロアはスルーします。

アウガが失敗した要因


①エスカレーター効果を狙ったが、併設する立体駐車場には連絡通路とエレベーターが設置された為、エスカレーター交換は半減した。
②来店者の狙うターゲット層が点でバラバラ、エスカレーター効果を狙った所で全館でのシナジー効果が起こらない。
③立体駐車場に、車を停めて来店するお客さんの購買目的とその心理を完全に外していた。

総論:


開業1年目で予想を上回る赤字を計上したことは、そもそも計画段階で取り敢えず、箱物を作ってテナントは後から押し込めようという軽いノリだったのが伺えます。
本来は、ビルを建設してテナントを誘致し、集客、収益構造のバランスを考え持続可能な運営をしていく事が重要なのです。
開業1年目で赤字形状してしまったのは、建てて終わりという意図が透けて見えます。
いかにも田舎の政治家、開発事業者がやりそうなことだなと思います。
現在アウガのテナントには、青森市役所機能が入っており100%市管理の公共施設に変わってしまいました。
これは、全て青森市民の税負担になります。
商業施設と図書館の公共施設は、別々の施設で管理運営する事が出来たら、市民の負担ももっと軽くできたことでしょう。

どこで間違えたかと言えば、計画の段階でだいぶマーケットとズレていたんだと思います。
建物は完成しました。はい、おしまい。という感じだったのでしょう。
テナントを誘致して、お客さんを集客、アウガの中で消費を増やし、ビルの維持メンテナンスも持続可能にして行くという視点が全く抜け落ちていたのです。
そんな”ノリ”だから地方の再開発は失敗してしまうのです。


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