弟の「要る、要らん!」
弟(昔飼ってたうさぎ)は気性が激しく、要不要をハッキリと態度に表す。
母がおちょくって食べ物を「どうぞ。」と言いながらやってると、
「要ーらーん!」といった感じで、押しのけて返してくる。
「まぁ、そう言わんと、どうぞ。」
としつこくやってたら、2回目ぐらいは同じように返してくるが、3回目以降は餌皿の中に両手(前足)を突っ込んで暴れ出し、最終的に皿を“ちゃぶ台返し”のようにひっくり返してしまう始末である。
まるで昭和のオヤジのようである。
「まぁ、ハッキリしてて、気持ちがいい!!」
と、母は満足そうだった。
その様子を見て、私は
「ホンマお母さんにそっくりやなぁ。」
と、顔にタテ線を入れながらよく見ていたものである。
母はしつこいのがキライなので、あぁいうのを一番嫌がるのに、何故弟にするのか、私には理解できなかった。(現在も)
母曰く、「あの小さい頭で、どう考えてるのかなぁと思ってさ。」
怒らすとややこしいので、言いたいことをグッと抑えて、
(いやいや、お宅がそういうの一番イヤやろ?しかも小さい頭でってなんやねん!)と心の中で思っていた。
弟は生物学上は“うさぎ”だが、うちの家では“人間”として、“弟”としているのだから、自分が嫌がるおちょくりを弟にしないでほしいと思っていた。
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また弟はりんごと、何故かパンをたいへん好んでいた。
りんごは口からいっぱい汁を垂らしながらがっついて食べていた。
パン…といっても食パンが主となるが、トースターで焼ける匂いがしてくると、小屋の中が騒がしくなってきて、“チーン!”と焼き上がる音がすると、暴れまくっている。
本来草食動物なので、こういうパン類をやってはいけないはずなのだが、とにかく言いだしたら聞かない。
小屋の隙間から、焼き立てのパン(勿論ある程度冷めてから)を少し入れてやると、まるでピラニアのように食いつき、引っ張りまくり、引っ張りすぎて、後ろへコケるということをしながらも、パンを食べていた。
その様子にただ、ただ圧倒されるのみである。
ごくたまに、弟を抱っこして家に入れて、私の太ももの上に足(後ろ足)を置き、手はテーブルの上にやると、まるでお子様の椅子に座っている子供のようだった。
あれだけ抱っこを嫌がるのに、この時だけはいつも嫌がらず、むしろ太ももの上で“しこ”を踏むようにバランスを取って、何ならいつまでもこうしていたいのかと思うくらいずっと私の太ももの上に立っていた。
ただし、弟の位置が適切になるためには、私がテーブルの下でつま先立ちをしないといけなかったので、私はそれなりにしんどかったが、とにかく怒りんぼの弟がこんな嬉しそうに、機嫌よくいるなら、仕方ないかと、思いながら、落ちないように最善の注意を払っていた。
ここでもりんごをジュルジュル汁を垂らして食べ、パンを引きちぎった勢いで私の胸やお腹にもたれかかっていた。
焼肉をした時も、ほぼ終わりかけに私の上に立たせて、少し一緒に食事をした。
その時に撮った写真で、父に抱っこしてもらって撮っているのだが、たまたまホットプレートにソーセージが2本乗っており、まるで弟のキ◯◯マのようで、未だにその写真を見る度に、母と笑ってしまう。
「弟もやっぱり家族…一緒に食べたいよな。」
と思いながら、嬉しそうな弟を見て、私も嬉しくなった。
その光景は今でも色褪せない。
これからもきっと、忘れないだろう。
※写真はお借りしているものであり、弟ではございません。