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元銀行マンがサラッと解説!融資が下りないときに読むnote 知ってる?「巻き直し」編

株式投資型クラウドファンディングで資金調達にかかる募集の取扱いをしているイークラウドの立花です。

地方銀行7年→Fintech企業2年半→イークラウドでスタートアップのエクイティ調達に関わるようになった私が、みなさんもよく知っている『銀行借入』について、少しお話したいと思っています。

本noteは、銀行借入初心者や1,000万円~5,000万円程度の金額を借入れたいスタートアップ向けに書いています。

メインバンクが銀行や信金・信組等に関わらず、まだそれほどの融資枠が見込めない状況をイメージしています。

※各金融機関により考え方や審査基準等は異なります。

1.銀行借入とは

借入、とはお金を借りることです。
他には「融資を受ける」や、「デットファイナンス」なんて言ったりもしますよね。

また借入には「金利」「担保」「返済額」「期間(期日)」「使途」等々、条件が付いています。

「金利」について少し、解説します。
「金利が高い/低い」なんて話はよく聞きますけど、金利ってどうやって決まるのか、みなさんご存じでしょうか?

詳しい話をすると、文章が長くなってしまいますので省きますが、一言でいうと「リスク度」です。

個々の金融機関の審査手続きに照らし合わせて見た場合に「この会社のリスク度はどのくらいか」という、ものさし📏が算出されます。

これを『格付』といいます。
基本的には、この格付をもとに金融機関毎の考え方を反映させ金利を算出します。

このとき、「担保」で借入額をどのくらいカバーできるのか、どのくらいの「期間(期日)」なのか、ということも「金利」に影響します。

ここでは、主に「金利」のお話がメインとなりましたが、前述のこと等を考慮し、支店長や上席者に「この内容なら提案してもいい」というハンコをもらって、みなさんのもとに銀行員が提案に来るわけです。

2.借入のとき、銀行はどこを見ているのか

前述の『格付』を算出する際に、最初に確認するのが決算書です。
とはいっても、創業間もないスタートアップでは1期目の決算を迎えていないこともあります。

そのような時のためにある制度が「創業融資」です。
「創業融資」とは、主に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や各都道府県(市区町村)が用意する「制度融資」のことをいいます。
会社設立後の初めての融資は、この「創業融資」を活用するのが一般的でしょう。

創業間もない事業者向けの借入制度で、決算書の内容よりも事業計画書の内容等に重きを置いたもので、「金利」や「担保」についても創業融資特有の条件であることが一般的です。
※ご利用要件に該当する起業家の方はご利用を検討することをお勧めします。

さて、「銀行はどこを見ているのか」に話を戻します。
銀行は、先ず会社の通信簿である「決算書」を見ます。
利益が出ているか、担保余力はあるか等々を決算書から読み取って、返済可能か/返済原資は何かを判断します。

返済原資とは、文字どおり「借入返済のための原資」です。
【年いくら稼い(売上)で支払い(原価・費用)がこれくらい、残り(利益)が返済へ】

ざっくり言うと、これが返済原資の基本的な考え方です。
当然、銀行はこの返済原資の金額よりも返済が大きくなる条件では貸したくない、というスタンスです。
※返済原資<返済額=返済できない可能性が高い、と見えるためです。

ただし、現預金を多く保有している、担保がある等々の理由によって返済原資を超過することはあります。
※個社のビジネスモデル等々によっても多少考え方が変わってきます。

とにかく「返済原資」、これが一番のポイントです。

3.返済原資、どうやって生み出す?

基本的に赤字決算の場合、返済原資→ない、と見られることが一般的です。
※赤字決算の内容、資金使途等によって見方は異なることがあり得ます。
この場合『新たに借入することはできないか』と銀行に尋ねれば、
答えは『No』です。

一例として、
【今、返済をしている借入を完済する】
これが、返済原資がない場合でも、新たな借入を可能にする方法です。

どういうことか?
例えば、このような借入があったとします。
 
 当初借入額:1,000万円 借入残:200万円 返済額:167千円/月
 「月々の返済額を167千円で、1,000万円貸してくれたら、この200万円を返す。」
 新たに借りる期間が当初借入と同じ期間であれば、月の返済額は変わらずに真水800万円の調達が可能になります。
 これが『巻き直し』という借り方です。
 ※真水=純増分


巻き直し例①

応用編

①当初借入額:1,000万円 借入残:200万円 返済額:167千円/月 
②当初借入額:1,500万円 借入残:600万円 返済額:250千円/月 
③当初借入額:2,000万円 借入残:800万円 返済額:334千円/月       
   合計  4,500万円      1,600万円       751千円/月 

この3本の借入を先ほどと同じように巻き直します。 
新規借入額:4,500万円 真水額:2,900万円 返済額:751千円/月 

巻き直し例② 

月々の返済負担が変わらずに、2,900万円も調達できちゃいました(やった🙌)

このような『巻き直し』は、銀行側にも貸出額の維持、貸出シェアの確保、融資先数の維持や支店・担当者のノルマ達成のため、インセンティブがあります。
(『巻き直し』は様々なバリエーションがあります。気になる方は、お気軽にDMください!)

★注意点
 ①返済できなくなった時に代わりの手段で回収するための担保がなくなっ
  てしまう等々、従前より条件が劣後するものは銀行は嫌がります。
 ②借入の条件、使途によっても巻き直しできないケースも当然あります。
 ③他行で肩代わりしてもらう、という方法もありますが、肩代わりされる
  銀行との関係にご注意です。(推奨はしてません)

4.借入ではどうやっても、調達できない!という方は

株式投資型クラウドファンディングを組み合わせてみましょう✨
株式投資型クラウドファンディングとは、プラットフォームを通じインターネットで複数のエンジェル投資家から少額ずつの出資を受ける調達方法です。
スタートアップ側は、株式を発行して、出資してくれたエンジェル投資家に割り当てる仕組みです。

株式投資型クラウドファンディングの仕組み

つまり、エクイティでの調達となります。
銀行の借入とは根本的に審査の目線が異なりますが、ここでの解説は割愛します
エクイティでの調達のため、自己資本として決算書に計上されることで
【債務超過の圧縮/解消】となります。

債務超過解消のケース図

つまり、エクイティでの調達により、
『ランウェイ確保』&『債務超過の圧縮/解消』
となるので、調達前と比べると借入のハードルは下がっているはずです。

また株式投資型クラウドファンディングでの調達=公募での増資
となります。
文字どおり、公に募っての増資、となりPR効果も得られます。

PR効果が得られることで、

  • メディア露出が増える

  • 会社の認知度が向上

  • トラクションが増加

以降、銀行借入を行う場合には、プラスに働く要素が増える可能性があります。

その他、イークラウドで過去ご支援した先では、以下のようなご報告を頂いています。

  • 今まで取引のなかった銀行からさまざまな提案があった

  • 採用につながった

  • 大手企業との協業に結びついた     等々


ぜひ、みなさんも銀行借入と株式投資型クラウドファンディングの組み合わせを検討してみませんか。

その他にもメリットはいろいろありますが、長くなってしまうので今回はここまで!

ぜひオンラインでざっくばらんにお話しましょう!
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