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地位も名誉もお金もいらない。助けたいのは人の命。
その先生はにこやかなお顔で、
「地位も名誉もお金もいらないんです。
助けたいのは命なんです。」とおっしゃいました。
人工血液の開発に、20年という歳月を費やし、
ご尽力されてきました。
今、街中で、「献血をしたことがありますか?」と
聞いてみると、したことがありますと答える方はほんの一握りです。
将来、血液が必要になっても、輸血出来る血液が無いかもしれない。
すると、人は死にます。
血液型の検査というのは、30分位の時間を要するとのこと。
事故に遇い、一分一秒を要する輸血の場合、30分の検査の間に命を落とす場合もあるとのこと。
また、血液が冷凍保存出来るのは、数ヶ月。
その数ヶ月を過ぎると廃棄処分になります。
これが、血液の現状です。
そんな中、先生は人工血液の開発をされました。
20年かけてです。
その人工血液の凄い所は、どんな血液型にも対応出来るということ。
冷凍保存期間が長く、1年間の保存が可能だということ。
もし、地震などの大きな災害で、大量に血液が必要になった場合でも対応可能だということ。
私が、夢のような血液だ!!
と思ったのは、どんな血液型にも対応可能だということです。
調べる必要も時間も必要なく、すぐに輸血可能な点です。
ここまで辿り着かれるには、20年間という長い時間と、努力があってこその結果だと思います。
先生はこうもおっしゃいました。
「私は生きた証を残したかったんです。」と。
生きた証…‥
私も生きた証を残したい一人です。
書くことで、それを実現したいと考えている一人です。
先生が生きた証を残したかったのは、地位や名誉を手に入れる為ではありません。
多くの人の命を救いたい。
そんな気持ちが貫いた人工血液の実現でした。
素晴らしいことを成し遂げられた先生の存在を知った時、心が震えました。
絶対に成し遂げると思い続けた先にあったものは、
多くの方が助かることの出来る未来です。
先生は生きた証をしっかり残されました。
おっしゃった「地位や名誉やお金はいらない、助けたいのは命」という言葉通りの生きた証です。
先生の言葉は、ずっと私の心の中で響いています。
私も生きた証を残したい。
何の取り柄もなく、地味に目立たずに生きてきました。
でも今は、もっともっと優しい世界を言葉で紡ぎ、
皆さんに優しい気持ちをお届け出来るような文章を書いて、残していきたいと思っています。