【ショートショート】時の扉、間違いの味

注意！
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
この作品には画像生成AIを使用して作成した画像を使用しています。
以上を踏まえた上でお読みください。

東京の片隅にひっそりとたたずむ「時の扉カフェ」

一見すると何の変哲もないこのカフェには、来訪者を過去に送り込む不思議な力があった。

主人公・直樹は、失敗だらけの過去を何とかしたい一心で、このカフェの扉をくぐる。

カフェのオーナーは直樹に警告する。

「過去を変えることは、現在をも変える。その覚悟はあるか？」

直樹は迷いながらも、中学時代に失敗した告白をやり直すことを選ぶ。

一杯のコーヒーを飲み干した直後、彼は瞬く間に過去へと送り込まれる。

過去の学校に立つ直樹。

今度こそはと意気込み、失敗したあの日に告白を試みる。

しかし、過去を変えた直樹を待っていたのは、予期せぬ現在だった。

告白を終えると直樹は現代に戻される。

彼の告白は成功し、彼女と幸せな日々を過ごしていたという記録はあるが、記憶がない。

しかも現代の直樹は彼女とすでに別れていた。

過去を変えることで得たはずの幸せは、彼にとって何の意味も持たなかった。

オーナーの言葉を思い出し、直樹は苦笑いする。

「失敗も、すべては自分を形作る大切な味だったんだな」

数ヶ月後、直樹は再びカフェを訪れる。

今度は過去を変えることなく、ただコーヒーを楽しむ。

彼は理解していた。

時間を変えるよりも、現在を受け入れ、楽しむ方がずっと価値があると。

そしてカフェの壁には新たな注意書きが加えられていた。

「過去を旅することができますが、最高の瞬間はいつも今です」

以上でこの物語は終幕となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。