【ショートショート】明るい未来

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

「これで世界は一歩進んだぞ！」と社長は満面の笑みで語った。

最新鋭のAIロボットを導入し、子供たちは工場の労働から解放された。

「企業の偉業だ！」とメディアはこぞって称賛し、社会全体がその成果を祝った。

だが、解雇された子供たちは、家に帰ると食卓もなく、明日の食事もない現実に直面した。

家族を支えるために働いていたのに、今ではその手段さえ失った。

「教育プログラム？」

聞こえはいいが、参加できるのは裕福な家庭だけ。

貧しい子供たちには、未来を掴む機会すら与えられない。

数年後、同じ企業が「未来のリーダー育成！」と新たなプロジェクトを開始。

再び子供たちを工場に呼び戻し「学びながら働ける」と誇らしげに謳う。

子供たちは再びラインに並び、ふと一人が仲間にささやく。

「前と何が違うんだ？」

仲間は小さく笑って言う。

「今度は、俺たちが自分で選んだと信じ込まされてるんだよ」

最後まで読んで頂きありがとうございました。